君と僕。

□これが
1ページ/1ページ

設定:祐希と千鶴は付き合ってます(2ヶ月位?)。

――――――――――――――――――
in非常階段
ある昼下がり…
「あれー?ゆっきーどこいったんだろ?昼休みになったとたんダッシュって…珍しい」
俺はゆっきーが居なくなってしまったので、いつもゆっきーと二人で何かするときいつも居る非常階段でだらだらしていた。

だだだだだだ

「つか昼前に水泳とか死ぬわ…今日朝飯食ってきてなかったのに(遅刻寸前)…髪も折角セットしてきたのにびっしゃびしゃで台無しだし乾かねえしその上今日はワックス忘れてきたとか…。あーもーゆっきー置いて食堂行こうかな〜。…でも絶対後で酷い目にあうよなー」

だだだだだだだだ

「ん?」
「ちーづるっ」どすっ
「ぐぼっ?!…何だ、ゆっきーか。っていうか、どこ行ってたんだよ?きゅーに走るからびっくりしただろー?」
「何だ≠チてなんですか…(むすっ」
「あ?ややこしいな…なんて?」
「だから、何だ、ゆっきーか=cって。」
若干むすっとしながら言うゆっきー。
俺はこーゆーこと何となく言っちゃってゆっきーの機嫌を損ねることがよくある。
「あー…急でびっくりしたから」頭をガシガシとかきながら答える…あれ、答えになってない?
「…答えになってないし」
「あーもっそんなことわかってるし!今思ったしっ!…急すぎてビビッて、誰がやったかわかんなくて、でもゆっきーだってわかったから、あ、ゆっきーだ=cって。安心したっつか、何つーか。だから…」言わせんなよな。
そう思っても、ゆっきーはそんな俺の心情に気付く筈も無く、まだむすっとしている。ゆっきーはこういうのあるとずーっと引きずるからなー。ゆうたんとの喧嘩のときとか。
「ふーん。そうなんだ。俺が折角朝ごはん抜きで体育がんばった千鶴のためにあんパン買ってあげようって思って帰ってきたら何だ、ゆっきーか≠チて…」
うーん…これは思ったよりも長いしくどい…!
でも、普段あんまり本気で走らないゆっきーがそこそこ本気で走って俺の為にあんパン買って来てくれたなんて…やばい、うれしい。
「悪かったってー!ごめんね?ゆっきー。俺の為に、ありがとな!」だから…そんなすねるなって、ね?  と俺が言うと、
「やだ。千鶴がそんなに軽い言い方なら、許さない。あんパンもあげない」
「はあ…ドーシタラユルシテクレルンデスカー?」
しゃーねえ。こうなったゆっきーには従うしかない…そうじゃねえと後が更にややこしくなるし。
「キスして」
「…はぁっ?!」
何 で す っ て ?
「だから、キスして」
「なんで…?//」
唐突過ぎて一瞬間が空いてしまった…やば、顔赤くなる。
「行動で示して欲しいの。だめ?」
ぐいっと顔をこちらに向けて迫ってくるゆっきー。…柑橘系の甘いにおいがする。
「いや…っ」
俺はそれを反射的によけた。心臓に悪すぎるだろ…!//
だめとかだめじゃないとかじゃなくって…分かれよ、頭良いくせに。こんなときだけ頭働かないとか…馬鹿。
「いやなの?…そう。」
「は?!」
「千鶴は俺のこといやなんだ。へえ。」
「いや、ちがっ」
ちがうよ、そうじゃねーよ。
「何ヶ月も一緒に居たのに気付けなかった。ごめんね。」
「ちょっ」
恥ずかしいんだよ、こんな付き合ってちょっとしかたってないのに、そんなこと…っ!///
「そうだったんだ。付き合ってるのも実は俺へのお情けなんだ?ふうん。」
は?何言ってんのゆっきー。ちがうよ。
「…じゃあもういいよ、」
ちがうんだって、やめて、
いわないで。

「別れよう?」


「じゃあね…んむっ…!?」
俺はぐちぐちとすねているゆっきーに思いっきり抱きついてキスをした。…オレンジみたいな甘いいいにおいにふわりと思考を持っていかれそうになるのを冷たく肌に張り付いてくる髪が邪魔をするけど、そんなこと気にする暇無いくらいの激しい…でもちょっと拙いキスをする。
「…ん…こ、これで、いいのかっ…?」
するとゆっきーは満足そうに、
「いーよ、千鶴のこと、許してあげる」
ほんと、よくわからん。

ゆっきーは驚いて、でもすぐに顔をニヤつかせて、いかにもしょうがないという様な顔をしてみせ、俺からどんどん主導権を奪っていった。
「ん…んん……っ」
「なーにその顔と声。…千鶴のえっち」
「はっ?ちがっ…てか、しながらいうんじゃ、んっねえ、っよ…!」
「だって、千鶴が可愛いからいけないんだよ」
「っ!!////」
そういって動いた唇は、酷く優艶で。
ぎゅっと強めで抱きついてくるときの力強さとか、柑橘系の香りとか、さらさらなのにプール終わりで若干塩素の香りがする湿った髪の毛とか。それら全部、俺を混乱させる。

わけわかんねぇ。本当ゆっきーは対処に困る。正直面倒だ。…でも、こうして幸せそうにふにゃりとした笑顔で俺を求める姿や、ちょっとのことですぐ機嫌を損ねてすねたり嫉妬したりするゆっきーを独り占めできるなら、これ位なんでもないと思えてしまう俺は相当末期だ。どんなに気まぐれでも、俺を愛してくれているのはわかっているから。
俺がお前以上にお前を好きなことを知らなくてもいい。
何があっても結局は許してしまう俺は、だめなのかもしれないし、全てゆっきーの思い道りだとしても、それすら愛しく思ってしまう俺はおかしいと思う。

……これが、惚れた弱みって奴なのかね?


――――――
祐希がただ単に右往左往する可愛い千鶴を見て弄りたかっただけだと千鶴が知るのはもうちょっと先のお話。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ