テニプリ夢小説

□告白【ブン太】
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(昔よくブンちゃんと行ったなぁ、)

通学路にある駄菓子屋を見上げながらそんなことをおもう。
あの頃はあんなに仲が良かったのに、やっぱり嫌われてしまったのだろうか。
最近は挨拶もろくにしてくれない。

(…あれ、あの頭、ブンちゃん?)

『ブンちゃーん!』

しかしその赤い頭の人物は一瞬振り返ってすぐに逃げるように歩き出す。

『待って、ブンちゃんっ!』

そう言って慌てて彼の腕を掴む。
見上げると気まずそうに顔を反らすブン太がいた。

『…何か用かよぃ』

『別に違うけどッ、最近ブンちゃん私の事避けてるでしょ!』

一瞬ブン太はギクリとした表情を浮かべる。

『そんなことねえよぃ』

明らかに気まずそうにそう応えるブン太は無意識か左手で髪を弄ぶ。

『そんなことあるもん』

キッパリと言い切る。

『なんでお前にそんなことわかるんだよぃ?』

『左手。ブンちゃん嘘つくときいつも髪の毛触ってるもん』

ブン太の手を指差しながらそう言う。
そう言うとブン太は慌てて髪の毛から手を離す。
ブン太は嘘をつくときは大抵髪の毛をいじるのだ、幼い時からその癖は変わらないらしい。

『小さい時から一緒なんだもん、それくらい分かるよ。どうして避けるの?』

思わずブン太の腕を握る手に力がこもる。

『…イロイロあんだよぃ』

ブン太は目を逸らしながら歯切れ悪くそう応えた。  

『イロイロって…なによ』

『…お前には関係ないだろぃ!』

突然強く言われ思わず掴んでいた手を離す。
しかしその一言でハッと気づいた。
やはりもうブンちゃんには嫌われてしまったのだ。
私とはもう関わりたくもない、そういうことなのだ。

『…そっか、ごめんね。私もあんまり話しかけないようにするから、じゃあね…っ』

そう言って足早にその場を去る。

『あっ、ちょ、待っ!』

ブン太に後ろから腕を掴まれる。

『…っ』

掴まれた腕を振り払おうとしたが無駄だった。
泣いてるところを見られたくなくて零れそうになる涙を必死に堪える。

『凛!ごめん、俺、、嫌いになったとかじゃねぇから…ほんと…』

『むり、しなくていいよ、ぶんちゃん』

泣いてることを悟られぬよう短くそう言う。
きっとブン太は優しいからそんな風に言ってくれるのだろう。

『だからちげぇっつってんだろぃ!お前なんか勘違いしてる!…まあ俺のせいかも知んねぇけど……』

『…?』

『…一回しか言わねぇからよく聞けよぃ。俺は凛のことが好きだ。きっとずっと前から、ずっと。』

『…え…?』

何を言われているのかわからず恐る恐る振り返ると顔を真っ赤にしたブン太がいた。

『…っ何泣いてんだよぃ!って俺が泣かせたのか…。…ゴメンな、俺がこんなんだからお前のことたくさん傷つけちまった』

そう言ってブン太は優しく涙を拭ってくれた。
もうなにも辛いことはないのに涙が止まらなかった。

『お、おい、なんでまだ泣くんだよぃ?!』

慌ててそう言うブン太をみて思わず笑みが溢れる。

『…ブンちゃん、私もね、ブンちゃんのこと大好き!』

『…っ! まったく怒ったり泣いたり笑ったり忙しい奴だな』

一瞬驚いたように目を見開き、微笑みながらブン太はそう言った。

『誰のせいだと思ってるんですか!』

おどけた様にそう言うとブン太は気まずそうに目をそらす。

『…ごめんって言ってんだろぃ?』

弱気なブン太が少し可愛く見えて思わず抱きつく。
ブン太は一瞬驚いたようだがすぐに優しく抱きしめてくれた。

『…ありがとよぃ』

ちらりとブン太を見上げるが彼の顔は見えなかった。
しかし赤毛の下から覗く耳はその髪と同じくらい赤かった。

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