BOOK1
□2.ジョンデ、シウミン、ルハン
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なぜか建物の外へ出たがるベッキョナを無理矢理連れて扉の中へ押し込んだ。
ポケットから携帯を取り出し、連絡先からチャニョルの名前を見つけて電話をかけた。
チャニョルが電話に出たとわかると、
「もしもし。今どこ?もう全体撮影始まるんだけど」
言い終わったあと、返事を待った。
待っても、電話にでた主の声は聞こえず、
その後に、
「なあ、聞いてる?」
と聞いた俺の声が静かな廊下に響いた。
電話の向こう側からザッとノイズ音がした直後、
「…悪い。今そっち向かってるから」
と電話越しにチャニョルの声が聞こえ、ブツっと切れた。
口を何かで覆っていようで声がこもって聞こえた。
そのチャニョルの声が震えていて、
言い終えた後にチャニョルが鼻を啜ったのが聞こえたのを俺は聞き逃さなかった。
何があったんだろう?
朝は何もなかったと思うと。
チャニョルはいつも通りだったはずで、
ベッキョナもいつも通りだったはず…。
思い起こしてみれば少し落ち着きがなかったような…と思うぐらいだった。
2人で屋上行って何かあったんだろう。
2人に何が…?
ベッキョナは下手な冗談ばっかを言って外に出ようとしたし、
俺の推理が正しければ、チャニョルは泣いてた。
何があったんだ?
どんなに思考を巡らしても答えは見つからなかった。
声も聞こえず、ツーツーと鳴り続ける携帯を俺は少しの間耳の近くへ持っていったままにしていた。