小説

□原因菌
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何もかもいつも通りだった。

朝は、机に足を乗せてふてくされ顔で座っている爆豪を小突いてから席に向かい、
昼は、嫌がる爆豪を無理やり昼食につきあわせた。因みに切島も一緒に。
そこまではいつも通り。

しかし放課後、アイツをからかってから帰ろうと思って近づくと、どうも様子がおかしいことに気づいた。
机に突っ伏して、自分の腹のあたりを両腕で抱えている。

「爆豪?」
「……」

背中に触れてそうっと揺さぶってみるが、反応がない。
寝てるのか?と思ったが、その割には背中がやたら上下している。

と思ったら、次の瞬間、爆豪が急に立ち上がった。
予想外の行動に、心臓が嫌な風に跳ねた。

「おあっ……起きてたのかよ。びっくりさせんな……って」

俺の言葉は耳に届いているのかいないのか、爆豪は黙りを決め込んで帰りの支度をはじめた。
それが何となく面白くなくて、彼の顔を軽く睨みつけると、決定的な違和感。

(つか、顔色悪くね?)
いつも怒りで紅潮している頬が、目に見えて青白い。
それなのに汗なんてかいてる。

「お前、」
お前、具合悪いの?
そう聞こうと思ったのだが、早くも帰りの支度を済ませた爆豪は席を立ち、さっさと教室を後にしようとする。
このまま放っとくわけにはいかない。
使命感に突き動かされて、俺は爆豪の背中を追った。
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