地球の言語じゃ表せない
□13/続.bit
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※微エロ注意
涙が止まらない荒北先輩を抱いたまま訪れたのは立ち入り禁止の看板と鍵がかかった、屋上への入り口。
私は器用に片手で荒北先輩を抱えて、スカートのポケットから鍵を取り出す。
鍵を開けて屋上に出て、元のように鍵を閉める。
とてもいい天気だった。春らしい、高い青空に白い太陽。
太陽の光に反射して、荒北先輩の真っ黒な髪と透明な涙がキラキラ光ってとても綺麗だった。
貯水タンクの影に荒北先輩をそっとおろして、正面から顔を覗き込む。
「荒北先輩」
静かに名前を呼ぶとゆっくりあげられる顔。
涙が零れ落ちる瞳で見つめられ、心臓のところがズキズキと痛くなった。
「荒北先輩…ごめん…」
守れなくてごめん。そう呟いて彼の前髪をすいて、自分の額と彼の額をコツンと合わせる。
「ン……もう、平気だカラァ……」
私に心配かけないようにか、掠れた声で告げられる。
「…荒北先輩は嘘が下手ですね」
震える彼の手に自分の手を重ねて優しく握る。
「ッセ…」
ぽろぽろと涙を溢しながら必死に泣き止もうとする荒北先輩はどこか簡単に壊れてしまいそうで、消えてしまいそうで、不安になって掻き抱くように引き寄せた。
隙間なく密着した体、お互いの体温が混ざりあって、聞こえるのは微かな風の音と荒北先輩の鼓動。
確かに生きてる。そう思うと少し安心した。
「もっと早く助ければよかった…そうすればきっと、荒北先輩が泣くこともなかった…」
後悔の言葉が口からつい出て、悔しくて荒北先輩を抱きしめる腕に力を込める。すると、震える手が私の背中に回されて、優しく、縋りつくように、小さな力で引き寄せられた。
顔をあげると、綺麗な泣き顔の荒北先輩と目が合って。
「チカチャンは何も悪くねェヨ」
小さな子供をあやすように私に言い聞かせる荒北先輩。
恐怖を押さえ込むようにして告げる彼に私の気持ちが追い付かなくて、思っていることがボロボロと零れた。
「そうじゃないんです。私が悪くなくても荒北先輩がこんな目に逢うなら意味がないんです。駄目なんです。私が悪くないなんてなんの言い訳にもならない、私があなたを守れなかった事実は変わらない。ねぇ、荒北先輩…私…私は…もし、私が死ぬ結果になっても荒北先輩が幸せならそれでいいと、思ってますよ…?それと」
悲しいやら悔しいやら、色んな感情がぐちゃぐちゃになって。
そうすると、さっきの光景を思い出して醜い嫉妬や独占欲が顔を出した。
「今も昔も…これから先も全部含めて、荒北先輩のカラダに触れるのは私だけでいいって…思いました」
真っ直ぐ荒北先輩を見つめて言うと、彼は顔を赤くして視線を泳がせる。
ねぇ、逃げないで。
すい、と顔を近付けて、至近距離で掠れる声で、荒北先輩に囁いた。
「荒北先輩…キスしてもいいですか……?」
するとびくりと揺れる肩。
「おねがい…荒北先輩…」
ゆっくり顔を近付けて、目を細めて同情を誘うような表情をつくって見せる。
「あらきたせんぱい…」
最後の一押し。今にも消えそうな声で名前を呼ぶと荒北先輩は眉間にシワを寄せて目を閉じた。
私は顔を傾けて荒北先輩の閉じた唇に自分の唇を合わせる。
ちゅ、ちゅ、と何度か角度を変えて触れるだけのキスをして、それから荒北先輩の結ばれた唇をなぞって舐めると渋々唇が薄く開けられ、私は思いっきり舌を捩じ込んで噛み付くような激しいキスをした。
「ンっ、ンン、ァ、」
整わない呼吸で、荒北先輩の鼻から色っぽい声が抜けていく。
あなたに触れるのは私だけでいいんです。
薄い舌を吸って、荒北先輩が感じやすい上顎をべろりと舐める。
そうすると荒北先輩の肩は面白いほど跳ねて、感じてくれてるのかと嬉しくなった。
「ン…ふっ……ン、ンっ…」
くちゅくちゅと唾液が混ざる音が頭の中で響いて、征服欲が少し満たされた。
散々貪ってから唇を離すと、荒北先輩は唇の端から飲みきれなかった唾液を伝わせて熱っぽい目で私を見て。
私は堪えきれなくなってズボンを穿いてないすべすべの脚に手を滑らす。
「ど、どこ触って、」
途端に慌て出す荒北先輩に相変わらず至近距離で悲しそうな表情をつくってシュンとして見せる。
「駄目ですか…?」
太ももの内側という際どいところをするする撫でながら上目遣いに聞くと荒北先輩は戸惑うように視線を泳がせた。
「駄目じゃねェケドォ…」
決心がつかない様子の荒北先輩の太ももを撫でながら残念そうに呟く。
「じゃあ…嫌なんですか…?」
すると彼は激しく首を横に振って、泣きそうな顔をした。
「ちがう…」
「じゃあ私のこと嫌いだからとか…」
「ちが、な、んで…」
せっかくキスで泣き止んだのに荒北先輩はまた泣き出してしまった。
「ごめんね荒北先輩、泣かないで。分かったから、ね」
恥ずかしかっただけだよね。
やっぱり私のせいで、私のために泣いてくれる荒北先輩はかわいい。
私は荒北先輩に謝ってから、ロードに乗ってるわりには焼けてない白い膝にキスを落とす。
ちゅ、とキスして次は太ももの外側にキスをして荒北先輩の脚にたくさんキスをする。
いつもペダルを回している脚。努力をする荒北先輩の全てが愛しくて、その全てを自分のものにしたくて。
内腿にキスをすると小さく膝が跳ねた。
内腿好きなのかな。そう思って内腿ばかりにキスをすると荒北先輩から甘い声が上がって、私は片手で荒北先輩の脚の付け根をなぞりながらもう片方の脚の内腿に吸い付いた。
唇を離すと綺麗な赤い跡がついていて白い肌にキスマークはよく映えていて綺麗だった。
キスマークにもう一度キスをして唇を離すと荒北先輩に髪を撫でられて彼の顔を見上げる。すると彼はボロボロ泣いていて。
「もう、嫌だァ…」
そう呟いて股間を隠した。
本当にかわいいなぁ。
「荒北先輩、気持ちよくなっちゃった?」
彼の両手首を一纏めにつかんで退けると先走りが滲んだ下着の中で窮屈そうに主張する勃起したソレがあって。
下着の上から撫でると大袈裟なほど荒北先輩の膝が跳ねる。
「抜いてあげるね」
下着を下ろして性器が外気に曝された途端、荒北先輩は身を捩って焦り出す。
「アッ、やだ、待って、待って、」
ヤダヤダと混乱する荒北先輩の唇を塞いで荒北先輩の舌を絡めとってそれと同時に性器をしごく。
キスをしながらしごかれるのは感じるらしく、あっという間に荒北先輩は射精した。
手のひらで精液を受け止めて最後まで出しきるように弛くしごく。その動きに合わせてキスも優しいゆっくりしたものにすると荒北先輩はぼうっとした目で、珍しく自分から舌を出してきた。
ちょっとトんじゃったのかな。
虚ろな荒北先輩もかわいい。なんて思いながら唇を離して下着を穿かせる。
唇が離れるとき、荒北先輩から追ってきてトぶと甘えたになるんだなぁと感心した。
ちゃんと制服を着せて、目の前でヒラヒラと手を振ってみる。
するとしばらくして覚醒したのか虚ろな目がいつも通りの目に戻って、少し考えるような顔をしたあと、ぶわわと顔を赤くした。
「荒北先輩目、覚めました?」
にこりと笑って言うと彼は口をぱくぱくさせて。
そんな彼に精液を受け止めた手のひらを突き付けてから、そのまま手のひらにべっとりついた荒北先輩の精液を舐めて見せた。
「なっ、」
真っ赤な顔で言葉を失う彼に流し目をしてペロペロ精液を綺麗に舐めてから目を細めて彼を見た。
「ごちそうさま」
すると荒北先輩は恥ずかしさのキャパオーバーを起こしたのか、大粒の涙が溢れてきて、泣いてばかりの彼がもっと愛しくなる。
大好きだから泣いてほしくないけど、私のせいで泣いてくれるのは嬉しいんだ。
だから、今日はもう少しこのままで。
【bit…欠片、破片】