図書館戦争

□1、図書館は資料収集の自由を有する。―1
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「あたしは教官達、結構好きだけどね。ちょっとかっこよくない?」


「はあ!?どこが!?あんなチンピラとチビ!」


織衣は、滝川と堂上の見てくれを思い出す。


柴崎の言う通り、2人は体育会系の割には格好いいとは思う。


しかし、郁の言葉も見方によっては間違ってないなと思った。


「伊江村は?」と柴崎に訊ねられ、答える。


「私見で答えるのは苦手だから、何とも言えない。だから、2人の言うことは否定しない。

滝川教官についてはそれで片付くと思うが、堂上教官については笠原もある意味人の事言えないと思うが…」


「あたしらが出会って1ヶ月経つけど、相変わらずこういうのに対して自分の考えを持たないわよねー。

でも、確かに笠原が背で男を選んだら、誰も…」


「それ言うな!」


柴崎のからかいの言葉に、郁は噛みついた。


堂上の身長は165cmで平均の男よりは小さいが、

郁の身長は170cmで平均の女子よりずっと大きい。


堂上と郁にとって、身長はそれぞれのコンプレックスだったりする。


ふと、

織衣は、何か思い出して、大真面目に言う。


「背で選ぶなら、滝川教官ならありじゃないか?

笠原より背は結構あるし、堂上教官もだが同期の中では優秀だし、彼はファンクラブができるほど顔も良い」


「間違っても、滝川教官だけは論外!アイツは性格が悪すぎる!」


郁がそう喚いた時、



「お前の俺達に対する評価はよく分かった」



郁の真後ろで、黒いオーラを纏いながら、冷静さを取り繕ってるような声が響いてきた。


後ろに居たのは、遡上をあげていた滝川と堂上である。


堂上は眉間にシワを寄せて黙り込み、

滝川は顔を引き攣りながら、言葉を続ける。


「チビのクソ教官と、チンピラの性格の悪いクソ教官、ねぇ……。

俺なんかは特に、偶々耳に入った罵詈雑言が指導に影響しないとは言い切れねえな」


「あたしと伊江村は誉めてたから関係ないですよね〜」


柴崎が織衣を巻き込んで保身に入る。


堂上は、織衣を見て言う。


「まあ、柴崎が誉めてたのは事実だし、伊江村は客観的に評価してただけだしな。確かに関係ない」


織衣は堂上が良い方面に解釈してくれた事に対し、小さくお礼の態度を示す。


郁は保身に成功した2人に対しちょっと睨みながら、

先程の遡上を聞かれてた事に対して顔を青ざめて、ガツガツ食べる。


その時、滝川でも堂上でもない別の人に声をかけられた。
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