ナルニア ライオンと魔女

□疎開初日
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列車のコンパートメントに1人、窓際の方に座って外を眺めていると、

コンパートメントのドアが開く音がした。


私はドアの方に振り向くと、男の子2人と女の子が2人、荷物を持って立っている。


1番年上なのだろう男の子が私に尋ねる。


「ここ、入っても良い?」


私は答える。


「良いわよ。1人より良いもの。荷物、上に乗せるの手伝っても良いかな?」


「ありがとう。でも、荷物少ないから大丈夫だよ」


男の子はそう言って笑うと、次々と荷物をのせていった。


妹達の分をのせ終えて、弟の分ものせようとしたみたいだけど、弟には拒まれてしまったようだ。


4人が座ると、1番年下っぽい女の子がはにかんで言う。


「私は、ルーシー・ペベンシー。列車で一緒にいる間、よろしくね。貴女の名前は?」


私は、彼女の苗字で彼らが一緒にカーク教授のお屋敷で過ごす人なんだと思い当たった。


私は、にこりと笑って自己紹介する。


「私は、メアリー・ホワイトホークよ。疎開が終わるまでよろしくね、ルーシー」


「びっくりしたよ、メアリー。君が、僕らと一緒に教授のお屋敷で過ごす仲間なんて…。

僕は、ピーター。よろしく」


どうやら、一番年上の男の子も気付いたようだ。


握手を求められたので、それに応える。


長女の女の子も手を差し出した。


「スーザンよ。よろしく、メアリー」


「よろしく、スーザン」


私は、スーザンの手を握る。


そして、残った男の子に手を差し出す。


男の子は、手を握りながら、呟くように言う。


「…エドマンド。よろしく」


「こちらこそ、よろしくね」





それからしばらく、4兄妹達と話していた。


私達5人が年の順に並ぶと、皆1つ違いになる事で盛り上がった所、

切りの良い途中の駅に着いた。


窓を覗いて見れば、そこで降りた子が、疎開先の大人達に粗雑に扱われている。


ルーシーが不安そうに、私達を見る。


私は、安心させるように笑って言う。


「大丈夫よ。私達の面倒を見てくれるカーク教授は、

少し変わってるみたいだけど良い人だから」


ルーシーよりも更に年下の弟と妹がいるので、宥めるのには慣れている。


ルーシーは、安心した笑みを見せてくれた。

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