オリジナル創作

□恋するチューリップ 〜黄〜
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入学とともに始まった なんの変哲もない生活。






友達もいるし、勉強もそこそこ、先生に目をつけられているわけでも無い




まさに 普通 という言葉に尽きる



決して悪くない生活、でもなんだか物足りない気持ちだった





そんなことを考えながら日々を過ごしていた時






















あなたに出会った


















放課後 委員会帰りに廊下を小走りで進んでいると






向かいから歩いてきた人とが肩がぶつかって相手の荷物を落としてしまった




慌てて拾うと手が重なって 思わず胸が高鳴った



ありがとうって微笑んで歩いていくあなたの背中を見た時、私は生まれて初めての恋に落ちました
















それから 普通 だった私の生活ががらりと変わった






学校に行くのが楽しみでしょうがなくなった



委員会活動をめんどくさいと思わなくなった



オシャレってものをするようになった



クラスの女子と今までよりも付き合うようになった




















あなたと会えることはなかったけど毎日が幸せだった































また ある日




あの日と同じように委員会の帰り、急ぎ足で廊下を歩いていた







不意に後ろから声をかけられて振り向くと



そこにはあの時と同じ笑顔のあなたが立っていた




そして小さなピンクのリボンがついた包みを私に差し出して




あげるって言った





嬉しさで言葉が出なくて







帰ろうとするあなたの背に 小さな声で自分の想いを告げた













何もかもが美しくて綺麗だった


































それから間もなく 


あなたの隣は空いていないって知った



























今までのものが全て崩れ去って一晩中涙が止まらなかった














泣き疲れて顔をあげると 机の端のまだ開けていない小さな包みが目に入る








開けてみると中には 小さな黄色のチューリップの形をした消しゴムが入っていた






























馬鹿だなあ と呟いた声は





誰にも聞こえない












































































































もっと早く開けていれば

(この結末に気づけたのに)



























































黄色のチューリップ:実らない恋、望みのない恋
 

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