オリジナル創作

□小説を書き直したかった女
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小説を書き直したかった女

















私は人から見れば羨ましい限りの人生を送っている。




まさにガラスで作られた薔薇のように・・・

























幼い頃から大財閥の令嬢としてなに不自由なく暮らしてきた。




しかしそれをひけらかすことはせず、身分など関係なく友達も多かった。



学生時代は常に成績優秀、いや学年トップだった。それに生徒会長も務め生徒たちからもとても好かれていた。



自分で言うのもおかしいが、異性にも嫌というほどモテたし同性の子にも嫌われたことなど無かった・・・いや、嫌われていたのかもしれないけど嫌がらせや直接何かをされるといったことはなかったから多分あっていると思う。





部活動は華道部で 賞をもらったり個展を開いたりということが何度もあった
















大学を卒業してからは父の財閥とは一切関係ない一流企業に就職した。




そこでも私に対する周りの眼は変わらない



もてはやされ、媚びられ、嫌味一つ言われない。



まあ、その方がいいけども。













そうしていくうちに年月は過ぎ・・・私も会社の上役になった



後輩もいるし、週末飲みに行く同僚も多くいて・・・今日もいつものメンバーで飲みに来ている。





しかし、男性との関係については全く進展しなかった 



私も私で彼氏なんて欲しがらなかったし、実をいうと幼馴染でこれまた財閥の次男坊がいる。


そろそろ縁談の話が進む頃だろう・・・そう考えると何故か気分が冷めて 自分の代金を払うと友人たちに別れを告げ家へと帰った























家に帰って私は真っ先にデスクに向かった。



そしてデスクの引き出しから一冊の硬い背表紙の日記帳を取り出しパラパラと捲る




そこには今までの私の人生が書いてある。






























人生=一本の小説だ。



自分だけが書くことのできるもの。




感想はおのおのだろうが 私が自分の小説に思うことは















「こんな小説、要らなかった」



















ただそれだけだ






普通に生きて普通に暮らしたかった。































私は立ち上がり、ごみ箱に本を投げ入れた。




硬い背表紙が淵にあたって鈍い音が部屋に響いた


























































































新しい小説を書くのには もう遅い

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