るろうに剣心

□現華火 〜恋火〜
1ページ/3ページ




「ん・・・もうこんな時間か」




いつもと違う背中の痛みに あの後そのまま眠りについてしまったのだと悟る



私としたことが・・・危うく志々雄様の忠臣として恥ずべき失態をおかしてしまうところだった。



仕立てのいい上質な外套も所々皺になってしまい、実は少しこだわりの髪形も見事に歪んでしまっているため元通りにするには少し時間がかかりそうだ。




幸い、志々雄様は起きるのが遅く、昼前になることもある。




ーー地獄に時の流れは無いが、物事の区切りをつけるため現世と同じように時計を作り、独自の時間を定めている














「取り敢えず、着替えなければ・・・」





そう思い立ちあがろうとした瞬間、右手が引っ張られた







引っ張られたほうに目を向けると







まだ寝ぼけた半開きの眼でこちらをみる彼女の姿が目に入った








「・・・ん〜?ほーじ・・さん?」


「っ・・・!!」



  


寝起きでいつもより声が掠れている






「もう起きちゃうのぉ・・・?あたし、まだまだねむいよぉ・・」 








・・・それはまあ一応私も男であるわけだから朝は・・て いかんいかん





彼女の言葉から思わず妙なことを連想してしまった。







「・・・私は志々雄様のところへ伺う支度をしなければならない。もう起きるぞ。」







私がそう言っても彼女は んー とか やー とか駄々を捏ねて中々手を放そうとしない















「(・・・なかなか可愛いらしいではないか)」









普段の日常生活の中で


愛しい、とか可愛らしいとか、そのような感情を抱くことは滅多にない。








しかし、彼女を見ているとそのような感情が次から次へと湧き上がってくるのだ。












今まで、その理由に気づくことは無かったが 恐らく、彼女、  華火を愛しているからなのだろう









いつぞやの赤毛の剣客が言っていたことが なんとなく  本当に少しだけ、分かった気がした。








「ほーじさん・・?なぁにニコニコしてるの・・?」





「・・・何でもない。そ、それよりも、襦袢の前が着崩れているぞ。」









肌蹴た襦袢から覗く 彼女が女性だと象徴する膨らみに胸がどきりと鳴り、慌てて言葉を紡ぐ













・・・朝の寝起きの状態というのは どうしてこうも破壊力があるのだろうか。





















百識≠ニ呼ばれる私も惚れた女の前では只の下心に溢れた男なのだと改めて感じたのだった












































 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ