るろうに剣心

□現華火 〜酔火〜
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とりあえず私の自室に移動し 話すことにした

「いやぁ〜 まさかまた方治さんに会えるなんてねぇ」

「・・・」

「あたしが死んでから一体どのくらい経ったのかなぁ〜?」

「・・・」

「ねえねえ方治さぁん、あたしが死んでからの世のこと教えてくださいよぉ〜」


「相変わらず喧しいな、新造」



思わず、彼女への態度があの頃と同じになってしまう



どのくらい・・・か

彼女と死に別れてからもう何年の月日が流れただろうか


「方治さぁん?」




随分汚いこともやった、いや志々雄様のためならば何をするのも私にとっては正義であり絶対である


己の全てを捧げ 生涯尽くそうと誓ったその忠誠心に嘘偽りなどありはしない。




























だが、あの時、縫い付けた不格好な釦を見せて笑う彼女の笑顔に、確かに私は息を呑んだ





「でもあたし・・地獄に落ちて良かったなぁ〜」


「・・・・地獄に?何故だ?」





絞り出した言葉はやはり尖ったもので、自分に嫌気がさす。





















しかし、次の彼女の言葉で私は完全に白旗を揚げた 




「何故かって? だって〜方治さんにまた会えたから〜!」





















ああ、私の完敗だ。
仕方ない、言うとしよう。
























「・・・・華火。今宵の月は綺麗だな。」



もちろん闇しかない地獄に月など見えるはずがない。


しかし、彼女は少し目を見開いたあとすぐあの笑顔で







「あい、ほんに綺麗でありんす」








初めて触れた細い指先は月の様に白く
うっかり離せば花火の様に儚く消えてしまいそうなほど小さかった

























月が霞む華火に酔う
(地獄は苦しみだけだと思っていたが、どうやらそうでも無さそうだ)
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