るろうに剣心

□現華火 〜恋火〜
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身支度を済ませ 部屋を出ようとすると少し前に起きてきた華火が皺だらけの外套を広げているのが見えた。






「それは戻ってきてから私が自分で片づけるから置いておくままで構わないが。」




「え〜 そんなの駄目だよぉ〜 早く伸ばさないと皺残っちゃうし・・・」








しかし・・・と私が返そうとすると 唇に柔らかい感触が




























ちゅっ
























「っ〜〜〜!!!???」



「えへへ〜〜 いい方法でしょ〜?方治さんを負かすためのあたしの必勝法〜!」











そういっていつもの笑顔でニコニコ微笑む彼女に勝てる気がしない












「・・・よろしく頼む。」



「あい!任せておくんなんし!」






















それだけ言うと 私は真っ赤な顔で自室を後にし 志々雄様の部屋へと向かった・・・








***









コンコン



「お早う御座います 志々雄様。」





ノックして部屋に入ると普段と変わりなく煙管をふかす志々雄様



その隣で由美が朝餉の品を皿に盛っている。




「おう、いつも通りの時間だ。流石だな」




「お褒めに預かり光栄でございます」


「・・・といいてぇとこだが」



「・・?はい?」





志々雄様の言葉に首を傾げる








「何か不備でも?」




「いや・・そうじゃねぇが、昨日の夜は随分と静かだったなと思ってよ。」





「昨晩・・・?」







さっぱり何のことだが分からない







「いやぁ、俺はてっきりあの新造の鳴き声が聞こえてくると思ったんだがな」




























・・・そ、





そういうことかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!








やっと事の真相を理解し慌てて否定する





















「し、志々雄様っ!!そのような冗談で私をからかわないで下さい!!」



「いや、俺は本気だぜ?てっきりその日のうちに食っちまうかと思ったんだがな」



出来なかったのか?などとニヤリとした顔で言う志々雄様に溜息が出る。






普段から無茶苦茶な人ではあるが志々雄様が色の話を持ち出すと厄介でしかない




もともと派手好きで遊び人なため色の話は切っても切れぬ間柄なのだろう。


それに比べて私はその手の話に滅法弱い






顔を真っ赤にして怒鳴る私を見て









隣にいた由美が噴き出す




「ね?志々雄様、私の言った通りでしょ?」


「ああ、流石お前の妹女郎だな」


「まあ!もうあたしもあの子も女郎じゃありませんわ。」


「まあそう怒るな、言葉のあやだ」






「志々雄様・・・御用がなければこれで失礼しても宜しいでしょうか・・・?」






もうこの空間にいるのが耐えられない。





さっさと自室に戻って彼女に会いたい





今朝の彼女を思い出して 思わずゴクンと唾を呑んだ




いや、正直なところ、彼女をそのような目で見ていないと言うと嘘になる







それどころか 触れたい、己で独占したいとも思う







どうやら昨日一晩で体中を毒されてしまったようだ





それすらも心地よく感じてしまう私はもう手遅れなのだろう












緩む頬に気づかないまま部屋の戸を閉めた
































心中 恋の華満開なり

(願わくば 散らないでくれ)
 

























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