たったひとつの
□伍
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修業をしていて3ヶ月経ちもう秀元でも心配はないだろうと思うくらいになっていた。
「雅ちゃん、もう修業はええと思うんや」
『え、そうでしょうか…?』
雅は心配そうな表情に変わる
「まぁ、ここで修業をするのを終わるだけでお屋敷では練習を怠らなければ大丈夫や!」
『はいっ!ありがとうございました!!』
雅は珱姫の分身を作るだけではなく自分の知っているモノであれば何でも分身を作れるようになっていた。
たとえば、鳥、花、なども作ることが出来た。
そして巷では雅の噂が出てきやがて分身姫と呼ばれるようになった。
『珱!』
「あ、姉様!!」
今日も珱姫を連れ出そうと珱姫のお屋敷に雅はやってきた。
もちろん、正面から堂々とである
屋敷から二人で出るときはそっと裏から出ていくのだが…
『今日はどこに行きたい?』
「では、甘味屋に!あ、あといつものところにも…」
『わかったわ、じゃあ先に私のお勧めの甘味屋に行きましょう。』
珱姫の言っているいつものところは廃神社で、崋山という医者がいるところでもある。
そこで不治の病で崋山でもお手上げの状態の人たちを治療しに行っているのである。
珱姫と甘味を堪能し、崋山のいる廃神社に二人は来ていた。
『崋山、久しぶりね。』
「雅姫様…あ、珱姫様まで…お久しぶりです。」
「すみません、こんなに時間が空いてしまうとは思いませんでした…」
分身が作れる雅でもさすがに珱姫の能力までは再現はできないため、珱姫が屋敷で治癒をしない日を選んで出てきている。
だが注意しておかないと見つかってしまうかもしれないので、そこまで長い時間も出ることが出来ない。
『ごめんね、私が珱の能力も再現できてれば…』
「いやいや、珱姫様がここに来て下さるだけでもありがたい」
「そうです!私も外に出れるだけでとても嬉しゅうございます!!」
雅はやはり自分が力不足だと思い詰めるのであった。
(姉様、もう時間が…)
(え、ええ。そうね。では崋山、これで私たちはお暇させていただくわね。)
(はい。雅姫様、珱姫様今日はありがとうございました。)