がんばれゴエモン 短編集
□義賊の彼は。
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「それは恋だと思うよ。」
ヤエさんかエビス丸だったか誰かが言っていたのを思い出す。
『私が恋かぁ・・・・・。』
確かに彼を見ると苦しくなり、心臓がバクバクと彼に聴こえるのではないかと思うくらい大きくなっている。
今まで妖怪退治や探すことに夢中になり過ぎてそんなこと思ってもいなかった。
『(お前、最近ため息多くねぇか??)』
『うるさいな煉獄。あんたには多分一生解んないと思うよ。』
真夜中、精神内に住んでいる煉獄に厳しく言った。
『(んだよ、こっちはあえて心配してやってんのによ。)』
『あんたに心配されても嬉しくないよ。』
『(あぁ、俺じゃなくてあの義賊さんに心配されたいんだろ??)』
『っ!!』
『(確か「石川ゴエモン」だっけか??)』
『・・・・・。』
『(顔が赤ぇぞ。)』
ニヤニヤしながら話しかけてくる。
イラッとくるが反抗できない。図星だっためだからだ。
そう、私が「恋」というものをしているのは一緒に旅をしてきた義賊のゴエモンだ。
自分勝手で江戸っ子で喧嘩っ早い彼だが、この旅の中でリーダーとしての頼もしさや時折見せる太陽のような笑顔に少しずつであったが惹かれていった、・・・・・らしい。
『(素直になれよなぁー。早くしねぇと誰かに取られちまうぜ。)』
『あんたねぇ・・・・・。』
私は正直どうすればいいのか分からなかった。
だって、もし伝えたところでフラれるのは目に見えていたと思っているからだ。
『(そんなことねぇと思うけどな。)』
『心を読まないでよ。』
『(しかたねぇだろ、ここで考えていることはお互いに分かっちまうのにさ。)』
『私はあんたの考えは読み取れるけど本心は全然見えないわよ。』
『(まぁ、伝えられないなら俺が伝えてもいいんだぜ?)』
『あんたが出たところで顔に出るからわかるでしょ??』
『(まぁな。)』
『・・・・・。』
好き勝手言われているが、私だって考えている。
だから・・・・・。