よわぺだ

□素直になって
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つぎの日
今日は学校が休みなので1日中部活だ。
ずっと自転車に乗っていられるのは嬉しいけど体力的にいつもギリギリになる。

だからといってサボってもいられないしもっと速くなりたい、朝食もしっかり取っていつもより少し早めに部室へ向う


昨日はあれから新開と会ってない…
一応ちゃんと謝らないとな…




まだ早いし誰もいないだろうと、あくびをしながら部室に入ると
ちょうど仕度が終わって出ようとしていた新開と目が合った


まだ誰もいない部室
昨日のことを謝るには絶好のチャンスだった。


「はよ…昨日のことだけどーーーー」


さっそく切り出したところで
自分の横を新開が目も合わせず通り過ぎる。
誰もそこにはいなかったように。


「お、おい!新開!?」


振り返って名前を呼ぶが足を止める気配もないまま、自分の自転車で走り去ってしまった。


「…え、マジかよ」


本気で怒らせてしまったらしい。
無視されるとは思わなかった荒北はそのまま暫く動けなかった。


嘘だろ、なんであんなに怒ってんだよ



「お、荒北でわないか!おはよう!今日も爽やかな朝だな!!」


こんな時にかぎって朝から騒がしいやつが来た…


「なんだ、無視か!?って…なんて顔してるんだ荒北」

「な、んでもねーヨ」

「さては!新開と何かあったのだろう?しかたない、この山神が話を聞いてやろう」

「いらねーヨ!つか、なんで新開が出てくんだよ…」


付き合い始めたのは1ヶ月くらい前の話だ、まだ誰にも福ちゃんにさえ言っていないというのに


「実はな、新開には口止めされていたが数日前から相談を受けていたんだ」

「相談?」

「お前との距離が縮まらない、とな」

「距離だァ??」

「だから『お前とは運命だ』と言えば距離も縮まるだろうとアドバイスをしたのだ」


わっはっはと笑いながら言うバカ
こいつからのアドバイスを素直に実行してみせた新開は、そうとう悩んでいたのか。

それなのに、俺はなんて言った?

『お前が一方的に……』


「……はぁー」

「ため息とは、なんだ」

「そのテメェのアドバイスのおかげでケンカしてんだよ」

「なんだ!それなら謝ればいいだろう、何をそんなに思いつめることがある」

「簡単に言うなよ……」



部活が始まる時間が近づく、ぞろぞろと部員たちが入って来ていた。


「お、フク!新開を知らないか?」

「アイツなら……」

「新開なら、今日は自主練をしたいと今朝早くから言ってきたぞ」



……完全に避けられてる。



どーやって謝ろうか…
そんなに怒ることか!?今までだって同じようなこと言ってたじゃねーか!!
でも、無視するってことはそう簡単には許してくれねぇよなァ



こんなことをずっと考えていたらいつの間にか1日が終わろうとしていた。
今日は練習に身が入らなかったな…


たまにインターバルで姿は見たけど話しかける暇もなくどこかへ行ってしまう。

その度に胸の奥を鈍い痛みが襲った。
正直、つらい
好きな奴に避けられて平気な訳がない


部活も終わりみんなが着替えている部室の中に新開を探すがやっぱりいない。


俺、嫌われちまったのかな…

別れんのかな…

こんなことなら、もっと好きだと言っていればよかった…



不覚にも泣きそうになる。



下を向いてバレないように素早く着替える、もたもたしていたら涙が出てしまいそうだったから…






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