よわぺだ
□素直になって
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「なぁー、靖友ー」
「アァ?」
「俺、お前とは運命なんだと思う」
「……はぁ!?」
新開の部屋
二人で何をするでもなくゴロゴロしていると新開がいきなり変なことを言い出した。
新開とは、ここ最近『そういう関係』になったばかりだ。
と、言ってもすることは今までと一緒で何も変わったことはない。
「運命って…ばっかじゃねーのォ!?」
「いや、だって……こんなに誰かを好きになったのは初めてなんだ」
「はぁ…いきなり何言ってんだ、熱でもあるのカァ?」
「なんだよーつれねーな」
ぶーっと口を尖らせながら俺のほっぺたをツンツンしてくる。
「っせ!触んな!」
「ちぇー、せっかくラブラブしたかったのに」
「ら、!らぶらぶって…」
「俺たち付き合ってんのに全然前と変わんねーじゃん?だからたまにはイチャイチャ…」
「ば…!ばっかじゃねーの!?んなことするかボケ!付き合うったってお前が一方的にそう思ってるだけ…!!」
ここまで言ってしまってはっと気づく、勢いに任せて後半思ってもいない事を言ってしまった。
口では素直に言えないが、一方的なんかじゃなくしっかり自分も好きだと自覚している。だからコイツからの告白もOKしたのに…
「へぇー……一方的…ね」
「えっ?」
ボソッと言った新開の言葉が聞き取れず顔を見るが下を向いていて表情がわからない。
「し、しんかい??」
「ごめん、靖友。今日はもう自分のとこ戻ってくんない?」
「いや、でも…」
「…いいから、出てけよ」
「っ!」
いつもは穏やかに話す新開が、低い声でこちらも見ずに言う言葉を理解するのに少し時間がかかった。
怒ってる…
まぁでも、時間が経てばすぐまた元に戻るだろうと思った俺は「わかった」と、短く言って新開の部屋を出た。
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