転生物語

□第1章
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「…ここは…」


流架が目を覚ますと、そこは真っ白な空間が広がっていた。


「…俺は死んだはずなんだが…」


流架が1人で呟いていると、


?[ずいぶん落ち着いてるんだね!]
「!誰…」


突然声が聞こえた。
流架が辺りを見渡すと、


?[ここだよ♪]
「!君は…」


目の前に紫の髪をした可愛らしい男の子がいた。
その少年は流架をじっ…と見ていた。


「ここは?」
?[ここは生と死の間。
覚えてる?君は村人から殺されたんだ]
「あぁ…覚えてる」


流架の表情は悲しみも怒りもなく、ただ無表情だった。


?[本来なら死んだら六道輪廻を廻って6つの道のどれかに進むんだけど…]
「俺が特殊…人間じゃないからここに来たのか…」


流架は驚く表情も見せなかった。


?[そ、それも少しあるけど…僕が君と融合しちゃったってのもあるんだよね…]
「…………何?」


無表情なままではあるが声は明らかに驚いていた。



?[じ、実はここを管理してる神様と喧嘩しちゃって…君を巻き込んじゃったんだよね…]


「(なんてことだ…)」


流架は心のなかで頭を抱えていた。
無言の流架に少年は怒ったと思ったらしく涙目になった。


?[ご、ごめんなさい!!僕のせいでこんなことになって…]
「あ、いや…別に怒ってないが…
それに、どうせ俺はどの道にも進めないんだ。気にするな」


流架は涙目の少年の頭を撫でた。
すると少年はさらに涙を流して流架に抱きついた。


?[うわーん!!僕っ君みたいな優しい人に出会えて良かった!!]
「俺は別に優しくないが…」


流架は抱き付いてきた少年の頭をなで続けた。


?[えっと、そろそろ次の世界に行かなきゃなんだけど…]
「そうか、だがどの世界に行くんだ?
俺は六道のどの道にも行けないんだぞ?」
?[それが行ってみてからのお楽しみなんだよねーあはっ☆]
「……………………」
?[ごめん!!謝るから無視しないでぇ!!]
「冗談だ」


流架の無表情に少年はまた泣きついてきた。


「そうだ、君の名前は?」
?[僕?僕は名前ないよ]
「ないのか?」
?[うん。僕は淫魔なんだけど、基本淫魔は名前ないんだ]
「そうなのか…俺でよければ名前付けてもいいか?」
?[え!!僕に名前付けてくれるの!?嬉しい!!]


流架は少年をじっ…と見ると頭を撫でながら言った。


「紫姫…なんてどうだ?」
?[しき…?それが僕の名前?]
「あぁ。綺麗な紫の髪で、怒るかも知れないがお姫さまみたいに可愛いから。
紫の姫で紫姫。どうだ?」


少年…紫姫は流架を見ると可愛らしい大きな目に涙を溜めた。


紫[う…嬉しい…ぼ、僕っこの髪の色で苛められてっ…でも君は綺麗って言ってくれたっ…凄く嬉しい!!ありがとう!!]
「どういたしまして」
紫[君の名前は…?]
「俺は御狐流架だ。好きに呼んでくれ」
紫[流架…いい名前だね!!
じゃあ流架って呼ぶね♪]


すると、2人の下が光出した。


紫[時間だ…流架、これだけは言っとくね]
「?あぁ」
紫[流架と融合すると、僕の姿は流架以外には見えないんだ。
そして、流架と融合したことによって流架の今までの事が全部分かっちゃうんだ]
「そうか…」
紫[だ、だからって僕は流架の事を絶対に嫌わないし、何があっても流架の味方だから!!]
「大丈夫だ、ありがとな」


流架は紫姫の頭をまた撫でた。


そしてそのまま2人はその場から消えたのだった。








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