転生物語

□第5章
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安芸に向かって走ること2日。


紫[相変わらず厳島綺麗だね〜]
「そうだな」


無事に毛利元就のいる高松城についた。
才蔵は屋根を飛びそのまま屋根裏へと身を置いた。


ちょうどそこは主の部屋だったらしく毛利元就が書を読んでいた。
すると、


就「はよう降りてこい。我に渡すものがあるのだろう」


元就が天井を見て言った。


「…お見事でございます」


才蔵は降りてくるなり頭を下げた。
その姿に元就は近い笑った。


就「楽にせよ。そなたと我の間ぞ、堅くなるな」
「…いや、主と忍だから一応…」


才蔵は苦笑いを浮かべた。
それに元就は目を丸くした。


就「…ずいぶん感情が出るようになったのだな」
「最近よく言われる」
就「…それが真田や猿飛によってなのは気に食わんな」
「そう言われても…」


何故才蔵と元就がここまで仲がいいのかは話すと長くなるためここでは語らないでおこう。


元就が書状を読もうとすると、手を止め才蔵を見た。



就「才蔵よ」
「?何か」
就「我が読んでいる間、ここに来るがいい」


元就の言うこことは膝の上。
要するに狐になれと言っているのだ。



「…はぁ、化け物を好んで触るのは幸村様と一緒だな」


なんて言いながら才蔵は姿を狐にして元就の膝の上に乗った。
元就は満足したのか才蔵の毛並みを確かめるように撫でながら書状を読み出した。


就「1つ言っておくぞ才蔵」
「?」
就「貴様は化け物などではない。
もし世間にそう言われるなら我が排除してくれようぞ」
「(元就…)」


才蔵は元就を見ると頭を撫でていた手に自ら擦り付けた。


「ありがとう、元就」
就「ふん、本心を口にしたまでよ」


才蔵は狐の間、頭を自ら擦り付けにいくことによって相手との会話が可能なのだ。


元就は書状を読み終えるとそのまま筆を取り返事を書き始めた。
その間も才蔵は好きに撫でられていたのだ。





就「これを」
「承知した」


才蔵は元就から書状の返事を受け取ると懐に入れた。
才蔵が帰ろうとすると、


クイッ


「っ元就?」


元就が才蔵の装束の裾を摘まんだ。
才蔵が振り替えると元就がじっ…と見つめていた。


就「…まだ我のものにならぬのか?」
「…嬉しい誘いだが、俺には幸村様がいるからな」
就「…我はいつでも歓迎するぞ」
「それじゃ、もしもの時は雇ってもらうよ。ありがとな」


才蔵は元就に向かって微笑むとその場を後にした。


就「…あの微笑みは反則ぞ////」


元就が顔を赤くしていたのを才蔵は知るよしもなかったのだ。





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