転生物語

□第9章
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半日かけて才蔵と左近は大阪に戻ってきた。
そのまま2人は秀吉と半兵衛の所に向かった。



「秀吉、半兵衛いるか?」
半「才蔵?もう帰ったのかい?」


室の中には秀吉も半兵衛もいた。
半兵衛は才蔵の早い戻りに驚いていた。



「報告だ。雑賀、毛利とは同盟を組んできた。
これが同盟書だ」
半「ありがとう。それにしても早かったね」
「…前田慶次と長曾我部は天女の虜になった」
秀「!!慶次もか…」
「あぁ…どうやら俺達が雑賀に訪れる1日前に訪れていたようでな。
その時にいた前田慶次を香りで虜にしたようだ」
半「そんなにその香りは強力なのかい?」



才蔵はそのまま起こったことを話した。
元就が体験したことも。



半「その香りにそんな効果があるとはね」
「あぁ…俺は嗅いではいたが直接あの天女を拒絶したわけではないからな発疹は出なかった」
左「でも毛利さんの体に出た発疹、マジでやばかったッスよ」
「……あの香りをどうにかしないと…」



才蔵は考えこんだ。
すると才蔵はある事を思い出した。


「半兵衛、確か香を立てるの好きだったよな?」
半「あぁ、たまに趣として立ててるけど」
「…その香の素を教えてくれないか?」
半「構わないけど…どうするの?」
「俺の知り合いに香を作るのを趣としてる奴がいるんだ」


才蔵がそういうと、


海「知り合いとは他人の様ではないですか」
3「!!!」
「六郎」


突然六郎が現れた。


海「私と才蔵の仲なのに酷いですね」
「す、すまない…」
海「!!ふふっ冗談ですよ」


六郎は才蔵がまた表情が少しずつ出ていることに驚き嬉しそうに笑った。


半「才蔵、彼が?」
海「真田十勇士、海野六郎です。
十蔵から聞きました。雑賀と毛利はうまくいったようですね」
「あぁ、これから東を周る」


才蔵はその場から立ったがある事を思い出し半兵衛の前に来た。


「半兵衛、少しいいか?」
半「?構わないよ」
「六郎、少し待っていてくれ」
海「分かりました」


才蔵は半兵衛を連れて室を後にした。



2人は半兵衛の部屋に来た。


「半兵衛、病を患ってるな?」
半「っ!!
……才蔵には隠せないか」
「診てもいいか?」
半「構わないよ」


才蔵は半兵衛の装束の前を少し緩め隙間から手を入れ胸元に手を当てた。
半兵衛の病状の悪さに目を見開いた。


半「ふふっ悪いだろ?」
「お前…!なんでこんなになるまで言わなかったんだ!」


才蔵は表情には出さないが声は怒っていた。


半「言ったら秀吉は僕を休ませる。
僕はそれを望んでいない。僕には叶えたい夢があるんだ」
「…秀吉の隣を歩いて秀吉の夢を叶えたい…か」


半兵衛は才蔵の言葉に微笑んだ。


半「そうだ。だから今寝てるわけにはいかないんだ。
ましてや今は天女と言う邪魔な存在がいる。
僕はね才蔵、秀吉の夢を邪魔して才蔵の事を苦しめる天女が許せないんだ」
「半兵衛…」
半「その天女なる者を滅ぼさない限り、僕は死ぬわけにはいかないんだ」


半兵衛の真剣な目に才蔵は何とも言えない感情に見舞われ深呼吸をした。



「分かった…今夜、その病を俺が治す」
半「っ!?そんなことができるのかい?」


半兵衛はまさかの言葉に才蔵の事を見た。
才蔵は半兵衛の目を見ながら頷いた。


「元就の発疹を治したのは俺だ。
俺の妖狐の力を使えば可能だ」
半「…………」
「…もう少し早く気付けてれば…
すまない…」


才蔵が俯くと、


ギュッ


半兵衛が才蔵の手を握った。


半「才蔵…本当に治るんだよね?」
「あぁ…」
半「僕は…秀吉の隣を歩けるんだよね?」
「俺が歩かせてやる」


才蔵がそう言うと半兵衛は嬉しそうに笑った。



半「僕は才蔵を信じるよ。
今夜、よろしく頼む」
「あぁ。
だが、秀吉達には言えよ?」
半「…分かったよ」



半兵衛は苦笑いをしながら頷いたのだった。






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