小説本文
□あげない
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午後のおやつの時間がのんびりと過ぎていく。早々に食べ終わってしまったルフィはデッキチェアに座るナミの足元で大の字になっている。
「なあナミ、おやつ分けてくれよ」
「嫌よ」
「ケチ…ナミは俺のこと好きだろ?」
「もちろん好きよ」
「俺も好きだ!だからおやつくれ」
「それとこれとは話が違うわ」
ナミが最後の一口をおいしそうに頬張るのをルフィは恨めしげに見る。ナミは仕方がなさそうに陽光で温かくなった黒髪をくしゃくしゃになでた。
「おやつは上げられないけど、そのうち世界一の海図を上げるわ」
「そっか、ならいいや」
ルフィは立ち上がって伸びをするとナミに麦わら帽子を被せて、風の吹き抜ける船首へと向かっていった。
海賊王に俺はなるぞー!と、海に向かって宣言する後ろ姿を見ながらナミは目じりを緩ませてお茶を飲んだ。
終