小説本文
□こころにすみついた
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我慢できなかった。
ナミは潤みきっていない蜜口をルフィのそそり立った先端に擦りつけると、半ば無理矢理体内に収めていく。慣らされていない隘路は悲鳴を上げみしりと響く痛みに涙が零れていく。
それでもナミは行為を止めようと思わなかった。むしろ痛みに震える体がもどかしくて苛ただしい。
きっとルフィはこんな事望んでいない。何度も名前を呼んでくれている気がするけどよく聞こえない。伸ばされた手は私を止めようとしている。
本能的に察したナミはその手を弾き手首を掴んでベッドに縫いつける。
これでいい。
この時、ルフィの上に跨っていたナミは軋み続ける秘所に楔を全て受け入れていた。
根元まで私の中に居てくれる。
両足で腰を挟み動きを制限し、隙間なく密着した肌には薄っすら汗が浮かぶ。
たまらなく嬉しくなってまた泣いてしまう。
こうしてしまえばルフィはどこにも行けない。
ぞくりとした充足感に内腑が慄いた。腹の底から切なくなるような疼きが生まれ始めている。固く怒張する楔はルフィの呼吸に合わせて脈打ってナミを攻める。体の深い部分から滲む疼きは痛みを飲み込んで熱を上げていく。
ナミがルフィの腹に手を置くと繋がっている個所がゆるりと意思を汲んで収縮する。潤み、溢れた蜜が二人の間をつたった。
ナミはゆっくりと腰を浮かせて沈ませる。浅い出し入れはすぐに深いものへと変わった。ぎりぎりまで引き抜いて一気に沈める。最奥から走る歓喜に動きはさらに密度を増し、抑え切れない声が喉から絞られていく。
快楽を貪る自身を合わせ鏡を見るようにもう一人の自分が見ている。
いやらしいなあ。
なんて浅ましいんだろう。
敏感な部分に楔を擦りつけてもう何度も達しているのに、さらに求めようと腰を複雑にくねらせる。
ルフィを気持ちよくさせたいんじゃなくて、自分が気持ちよくなりたいんじゃない。これじゃあルフィは呆れるかも。
その言葉が聞こえていたかの如くルフィはナミの頬を撫でて注意を引きつけた。一瞬ですっと血の気が引いたナミを覗き込んでルフィは笑った。
「ようやく俺を見てくれた」
上体を起こし額を突き合わせるとルフィはむくれた。
「ナミ、泣くなよ。お前が泣くの好きじゃねえ」
いつもの声、いつもの眼差し、いつもの熱。
視界を閉ざしていたナミにどっと色が舞い戻る。鮮やかで温かい空気を感じたくなくてナミは頭を振るがもう遅かった。
唇が柔らかく啄ばまれた。ルフィが中に入ってくると理性が飛ぶが、唇を通して絡んでくる舌はもっと危険で全身が敏感になる。
「何が不安だったんだよ」
ほろほろと蕩けて抗えなくしてから真っ向から急所を突いてくる。
「…ルフィは皆に愛される。男も女もあんたに特別に思われたくなる」
だから私はそのうち要らなくなるかもしれない。
自分よりも優れた容姿、能力、立場の者は広い海に数え切れない程居る。もしもルフィが離れてしまったら、ナミには引き止める術がない。
「ナミが要らなくなるなんてあるわけがねえだろ」
ルフィはナミの手を握った。
からりとした笑顔で鬱屈を払っていく。
「今まで色んな奴に会ってきたけどよ。俺がめちゃめちゃにしてえって思ったのはナミだけだったからな」
突然、ルフィは腰を突き上げナミの秘所を抉った。ナミは離れようとしたが、五本の指はしっかりとルフィのそれに絡められ外される気配がない。
容赦ない動きに細い肢体が堪えかねてしなるとルフィはその体を抱き締めて荒っぽいが的確な抽挿でナミの逃げ場をなくす。未来の海賊王は誰にも見せた事のない獰猛な笑みを一瞬だけ浮かべると、喘ぎすぎて声が出なくなった喉に吸いつき赤い花を咲かせる。
「ナミが俺を想う位、俺も想っている。だけど俺のほうが執着しているからな、絶対逃がさねえぞ」
ルフィは恍惚としているナミを凝視した。
「だからもっと乱れろよ。俺だけに全部見せてくれよ」
ナミは言葉ごとルフィを氷漬けて手元に置きたいと願ったがすぐに心の底に沈めた。
「好きよルフィ」
「知ってる、俺もだ」
《終》