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 「…大丈夫?」

 ナミは自分から仕掛けておいて心配になった。真っ赤に茹で上がってのぼせて倒れてしまうのではないか。ぎくしゃくと頷くバルトロメオはどこを見ているのかわからない。
もう一回したらどうなるのかしら。
 悪戯心が揺さぶられてナミが顔を近づけようとすると野生の勘で気がついたバルトロメオはあっという間に離れてしまう。見下ろしてくる視線の熱さ、理性が剥がれ落ちそうになっているのに必死に堪えている姿に下腹部が疼いた。

 腿の間に透明な体液がつたった。
 バルトロメオは見逃さず大きな体を折ってナミの膝を割り開き、そこを舌でなでた。

 「やっ!」
 
 反射的に力の入った膝を物ともせずに何度も舌で愛撫する。長い舌は秘所を往復するのも愛撫するのも思いのままでナミの視界が白く瞬く。

 バルトロメオは無心でそこを貪った。溢れる蜜を受け止めると恍惚のあまり放ってしまいそうになる。熟れた芽を舌先でなぞるとナミは腰を浮かして震えた。何度も何度も愛でると耳に心地よい声が響き渡る。自分の行為に感じてくれている。高ぶりが抑えられなくて指で入り口を広げて舌を押し入れた。舌で掻き乱しているときゅっと頭髪が掴まれた。

 「もうっ…きて…?」
 「っナミ先輩」

 幸せすぎて辛い。
 このまま死んでもいい。
 そう思っているのに体はその身を求めて起き上がる。そそり立つ楔の先端に蜜を擦りつけるとひくつく秘所を浅く往復する。指や舌よりも大きな熱を待ち望む姿はどうしようもないほど女で、その女の部分を見せてくれているのが泣き出したくなるくらい嬉しかった。

 「きつかったら言ってくだせえ…」

 バルトロメオは声を絞り出すと分身を中へと沈めていく。充分に潤っている秘所をそれでも遠慮がちにゆっくりと進み、半ばまで収まった所で動きを止めた。
 枕にしがみついたナミの指があまりに白く、震える体が辛そうに見えてそれ以上動けなかったのだ。
 
 「ナミ先輩…辛えんだったら止めますか?痛えんだったらさっきみたいに指とかで…」
 「ば…かっ…」

 枕に顔を伏せたままナミは喘ぐ。

 「こんなにっ優しくされて辛いわけ…ないでしょっ…気持ちよすぎて変になりそうなの…止めないで…」
 
 強気に聞こえた声が徐々に懇願に変わり、バルトロメオは心臓を絞られた気がした。感動で泣きそうになりながら唇を引き締めて堪える。
 そして慎重に腰を引いて浅い律動を始めた。楔の嵩を秘所の入り口に引っかけるように抜き差ししながら抽挿するとすぐに放ってしまいそうなほど心地よい。この快感をナミと共有しているの思うと胸が疼いてしょうがない。

「あっあっあんっっっ」
「っもう少し深くいきますっ」
「んんっ!」

 穿つごとに深くなる繋がりに艶やかな声が上がる。受け入れられている充足感に身震いする。バルトロメオはナミに覆い被さると遠慮がちに額や頬に口付けを落としていく。唇で求め合えば犬歯で傷をつけてしまうかもしれないと思い、気持ちだけは精一杯込める。軽く触れるだけなのにナミの体には確実に熱が堪まり、バルトロメオを締めつける。抽挿は止まらず最奥まで辿り着いた楔は卑猥な音を立てながら打ちつけられる。

 待ち望んでいたはずの快感が大きすぎてナミは喘ぐしかできない。

 「バルトロメオっ…気持ちいいっ」
 「っオラもすげえ気持ちいいです」

 ナミに喜んで貰えている。
 幸せでもっともっと尽くしたくなる。バルトロメオは体の下で揺れる豊かな胸の蕾を口に含んで舌を絡めた。

 「っっっ!」

 秘所がきゅっと締め上げられる。だが溢れてくる体液のおかげで滑りはよく深くまで繋がっても拒まれる事はない。

 ナミは最奥に収まる楔の質量に眩暈がしていた。

 腰の動きを止めたバルトロメオは舌に集中する。赤い小さな蕾を傷つけないよう丁寧に舐める。歯を立てないよう慎重に甘噛みすると下肢が強く締めつけられた。

 「っん!あっだめ…それっ…っっっ」
 「まだ…ナミ先輩っもう少し…」
 「あんっ」

 手を秘所に伸ばし熟れた芽を探り出して擦り上げる。弱い箇所を同時に刺激されたナミは達して肢体を震わせ、それに安堵したバルトロメオも白濁をはなった。
 
 荒い息遣いに紛れてどくどくと脈打つ楔の熱さに翻弄されナミは弛緩できないでいた。だが硬度を失ったそれが引き抜かれた時、喪失感に叫びそうになる。

 微かに零れた声が名残惜しそうに聞こえた、とはさすがに都合が良すぎるだろうとバルトロメオは頭を振る。薬の効果ももう切れているのかもしれない。落ち着いたナミがどんな反応をするのか考えると怖い。とりあえず素っ裸はまずいだろうとベッドの端に投げた服に静かに手を伸ばそうとすると、悲しげに、悔しげに、睨まれた。

 「…私のこと嫌いなの?」
 「っそんな滅相もねえ!大好きです!」
 「じゃあ側にいてよ…」

 バルトロメオはおっかなびっくりナミの側に寄る。
 ただし自身の手で目を隠しながら。
 今さらすぎる行動にナミの声に棘が混じる。

 「どうしてそんなことするの?私なんて見る価値もないの?」
 「ちがっ違くて…そうじゃなくて!駄目、駄目、駄目なんです!オラがナミ先輩を見たら恐れ多くて!絶対ぇ我慢出来なくなって駄目になるから…!」
 噛みっぱなしの上擦った台詞。
 ナミはほんの少し唇をゆるめた。

 「駄目になるって?どんな風に?」

 バルトロメオはびくりと跳ねる。膝の辺りを撫でられた気がした甘やかな感触に下腹が疼く。

 「それは…だから…」

 再びなでられる。今度は膝よりもっと上に。その手が伸びる先に気がついて肩が震える。

 「ナミ先輩の顔を見ちまったら絶対歯止め効かなくて!無茶苦茶して気持ちよくさせてあげられなくなるから!」

 だから駄目です、と最後は蚊の鳴く声で振り絞られる。その叫びが終わらないうちに肩が押された。咄嗟に両目を覆っていた手を離して受身をとる。固く目を瞑っていると何かが腹の上に乗ってきた。

 「無茶苦茶にしてよ…そうでなきゃ薬を飲んでここまでした私が…馬鹿みたいじゃない」

 バルトロメオはその瞬間ばちりと目を開けた。
 視界に飛び込んでくるのは大切な人の泣き出しそうな顔。それまでのやりとりが残らず頭から吹き飛んだ。跳ね起きて腹の上から転がり落ちそうになるナミを抱き締める。

 心臓が皮膚を突き破って耳の側に来たのかと思うほど煩く鳴っている。恐らく目も飛び出しそうになっている。もの凄い早さで巡る血流に全身が熱くなり、混乱と驚きで口の中が乾いてくる。

 「すんません好きです!」
 「…私も」
 「絶対ナミ先輩に相応しい男になりますから!」
 「そうならなきゃ許さないから…」

 ナミの手がバルトロメオの首に回る。

 「今はもっとしよう?」
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