小説本文

□コンパス
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 シャチは後ろからナミを抱いた。

 ペンギンは正面からナミの両膝を開いた。

 

 指が埋もれていく。やわらかくて熱い双丘にシャチの指が沈み下から掬い上げては形を変えて揉みしだく。そうすると蕾が色づいて形を顕わにする。

 肩越しにそれを見てシャチは堪えかねて息を吐く。白い首筋に吸いつき夕日色の髪を唇で掻き分けて耳朶に噛みついた。

 「っあ、んっ」

 腕の中で肢体がしなり甘い声が上がる。

 興奮した。

 下半身が猛って辛い。

 両指で蕾を撫でると、もっと、と囁かれ暴力的になりそうな自分を押さえつけて丹念に扱いた。


 うねる腰を押さえつけてペンギンは秘所を舌で刺激する。熟れた芽を指で入り口の浅い部分を舌で愛撫すると内側から体液が溢れてきた。

 「それ…っ気持ちいいっ…」

 蕩けた声音に顔を上げると欲情しきったナミを目があう。

 普段の凛とした姿からは想像もつかない女の顔をしていた。

 いつも頭の中で押し倒していた。

 何度も求めて一人で自慰に耽り虚しい思いをしていた。

 生身の持つ熱さに眩暈がする。

 例えこれが媚薬を盛られてお膳立てされた状況だったとしても。仕組んだ張本人がベッドの脇で腕を組んで口端を歪めていたとしても。

 腕一本分の距離。

 服一枚分の隔たり。

 それがなくなるのならば喜んで悪魔に魂を渡そう。



  終

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