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□後姿に魔法がかかる
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「ヨンジ…」

 ベッドから立ち上がりかけていたヨンジは呼ばれて振り返った。横たわったままのナミは身体中をしっとりと潤ませ擦れた声音ひとつにしても甘さが滴っている。体を繋げていた熱が収まって無意識に胸元を隠す、そんな対比も良い。
 ヨンジはすぐさまその傍に舞い戻ると機嫌よくナミに口づけ胸元を隠す手を剥がしてやわらかな谷間に吸いついた。

「どうした?今日はもう終わりじゃなかったのか?」

 軽口を叩いたつもりだった。ナミの腰が抜けるほど抱き、ほんの少し前まで猫は腕の中で意識を飛ばしていた。
 そのナミから抱きつかれてヨンジは目を丸くする。頬に手が添えられ淡く啄ばまれる唇に答える事も忘れて赤くなる。勝手気ままに指図し奪う事に慣れた生活の中で、こんな風に甘えられるとどうしていいのかわからず固まってしまう。いまだに新鮮な反応をするヨンジにナミは微笑み下肢をねだるように擦りつけた。

「もう一回したいの…」

 駄目?と続く誘い文句に沸騰する。断る理由は存在せずヨンジは唇を塞いで舌を絡めた。
 熱が再び上がる。
 先程よりも激しく身を焦がす。
 深く抱き締めあう幸福感と快感は等しく痺れが全身に張り巡らされては驚くほど感じて声が上がる。
 果てしない心地良さに意識を飛ばさないようナミは必死でヨンジに縋っているが、最奥まで響く抽挿に合わせて腰が自然と揺れてしまう。そうしてしまうよう、体が出来上がってしまっている。
 ヨンジは手放しそうになる理性を何とか抑えていた。
 動きを止め唇を貪って快感の隙間を作ろうとしたが、内壁が雄を絞ってきて堪らない。

「っ今日はやけに大胆だな」

 ヨンジは嬉しげにナミを覗き込んだ。快感が過ぎて涙を流す瞳は欲情して酷く赤い。


「背中…」

 照れたのかナミはヨンジの顔を押しのけて逃げようとする。

「ヨンジの背中、好きだなって思ったから…」

 広くて逞しい背中。ナミの腕がようやく回るぶ厚さを見つめていたら下腹部が疼いて仕方がなくなった。体は根を上げているのに欲しくて欲しくてしょうがないと、中に沈む分身を締めつける。
 また言葉を失ったヨンジはわけもわからずナミを抱き締めた。傲慢さの欠片もない不器用さに体が疼く。
ナミがねだればヨンジはすぐさま答える。
 一回なんてそれこそ冗談だと言わんばかりに求め合った。


 終

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