dream

□隣の席
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隣の席



…眠い。


お昼休みが終わって五時間目。
快晴。
暖かい。


昼寝をするのに好都合な条件が揃ってしまった。
しかも私の席は一番後ろの窓側。
先生に見つかりにくいし、ちょうど陽が当たる。それが眠気を誘うのだ。

ああ、だめだ…

先生ごめんなさい、私は寝ます。
だって先生、英語ばかり話していて何を言っているのか分からないんだもの。
英語の授業だから英語を話すのは当然なのだけれど。


『(おやすみなさい…)』


徐々にぼやけていく視界。
ああ、この眠りにつく瞬間が好きだ。


「ふふっ」


…ん?

近くで誰かが笑うような声が聞こえた気がして瞼をゆっくりと開けた。
重い頭を持ち上げて辺りを見渡す。


『…!?』


幸村くんが、私のことを見て笑っている。
まさか、寝顔を見られた…!?
どしよう、白目になっていたかもしれない。

一気に目が覚めた。

幸村くんもそれに気づいたのか、小さな声で「おはよう」と言った。

物凄く恥ずかしい。


『ぁ、えと…』


なんて返事をすればいいのだろう。今だに面白そうに私の顔を見る幸村くん。


「みょうじさん、寝顔可愛かったよ」


顔に熱が集まるのが分かる。今の私は、ゆでダコのように真っ赤なのだろう。
ああ、恥ずかしい。幸村くんに見られないように、顔を俯かせる。


もう絶対に、幸村くんの前で昼寝なんてしない


そう誓った5時間目であった。

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