dream
□約束のキスをもう一度
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俺の視線の先には、楽しそうにテレビを見ているなまえ。俺となまえは生まれた時からずっと一緒、いわゆる「幼馴染」という関係だ。
そして俺は、なまえに好意を抱いている。
「ねえ、なまえ。」
『ん？どうしたの？』
「幼稚園の時さ、」
『うん』
「…いや、なんでもない」
『えっ、なんで！？』
「なんでもないよ」
『ええ〜…』
幼馴染みって、近いようで遠い。
ずっと一緒だと思っていた。だけどなまえはどんどん綺麗に、女性らしくなっていって。
なまえはあの時の約束を覚えていないんだろうなあ。
俺は覚えているよ、はっきりと。
俺が「大きくなったら結婚しようね」と言ったら、なまえは満面の笑顔で「うん！」と応えてくれた。そして、約束のキスを交わしたんだ。あの頃から好きだったんだなあ。あの約束をしてから何年も経つというのに、まだ何の進展もしていない。情けない。
どうして上手くいかないのだろう、と頭を悩ませているとなまえが話しかけてきた。
『ねえ、精市くん』
「なんだい？」
『幼稚園で思い出したんだけどね…
「大きくなったら、結婚する」って約束したの、覚えてる？』
「え？」
『さすがにもう忘れちゃったかあ』
「…覚えているよ」
『…え』
「え」
お互いに赤面する。子供の時のことだけれど、なんだか恥ずかしいな。
『覚えてたんだ…』
「もちろんだよ。
…今は、どう思っているんだい？」
『え？え、今って…』
「今の、なまえの気持ちのことだよ」
『え、えっと、』
恥ずかしそうに視線を泳がせるなまえ。これは、期待してもいいってことかな。
「俺は、好きだよ。あの約束をした時から、今までずっと」
『！』
「なまえの気持ちを教えてくれるかい？」
『…私も、ずっと前から好きでした』
ああ、凄く嬉しい。もうとっくの昔に忘れているのかと思っていた。あの約束を交わした時からずっと両想いだったのか。そう考えるともっと早く告白すればよかったかな、なんて。まあ無事想いが通じたし、一安心だ。
あ、そうだ
「なまえ、」
『…はい』
「キスしようか」
『！？』
「約束のキス、だよ」
約束のキスをもう一度。
――――
お題：確かに恋だった