dream

□女の子の日
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朝からずっとお腹が痛い。
悪い物を食べたわけでもないのに、どうして…。個室に入り、鍵をかけた。
冷えたかなあ…、と思いながら下着に手を掛ける。毛糸パンツ穿いてくればよかった。夏だけど。
痛い、痛いです。なんでこんなに痛いの。出そうにないけど、さっさと出すもの出しちゃおう、と下着をおろしたその瞬間、

「生理だ…」

最悪な一日の始まりです。

「痛い…」

まさか今日くるとは思っていなかった。ナプキンは常に持ち歩いているから助かったけれど、鎮痛剤はさすがに無い。
夏だから毛糸パンツなんて穿いているわけないし、カイロなんて以ての外だ。

あ、保健室に行けば鎮痛剤かカイロくれるかな。
痛い、痛い、歩きたくないけど…このままここにいてももっと痛くなるだけだよね。
よし、行こう。

「失礼します、あ」

先生がいない、けど、幸村くんがいる。
幸村くんの腕から血が出ている。幸村くんって怪我するんだ…

「みょうじさん」
「幸村くん。腕、大丈夫?」
「ああ、大したことないから大丈夫だよ。それより、みょうじさんはどうしたんだい?」
「ちょっとお腹が痛くて」

そう言ったら、幸村くんは何かに気づいたような顔をした。察してくれたんだね、幸村くん。

「…薬は飲んだ?」
「ううん、飲んでないよ」

幸村くんってこういう話してて恥ずかしくないのかな、たしか妹さんがいるんだっけ?

「無理しちゃだめだよ。たしかこの辺りに薬が…」

いやいや大丈夫だよ、優しいね幸村くん。止めようと思ったんだけど、あまりにも真面目な(深刻な?)顔をしているから止めるに止められない。
「あ、あった」と言った幸村くんの視線の先には鎮痛剤とカイロ。ああ、ありがとう幸村くん。
だいぶ前に生理のことでクラスの男の子にからかわれたことがあって、あまり男の子に生理だってことを気づかれたくないと思っていたんだけど、こんな紳士的な男の子もいるのか。

「ありがとう」
「どういたしまして。…少し横になっているかい?」
「大丈夫だよ」
「そっか。少し顔色が悪いし、無理しちゃだめだよ?」
「うん、ありがとう」

私が「部活頑張ってね」と言って教室に戻ろうとしたら「教室まで送っていくよ」と言われたので素直に従った。
廊下を二人で歩いている時、「彼氏がいるとこんな感じなのかなあ」と余計なことを考えてしまい、なんだか恥ずかしくなって幸村くんの顔が見れなくなってしまった。そしてそんな私の様子の変化に気づいた幸村くんはまた心配し始めて色々と大変なことになって、気が付いたらお腹の痛みはなくなっていた。
明日、またお礼を言おう。

「幸村くんって、優しいなあ」


ーーーーーー
生理ネタでした。

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