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□この秋空に想う
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【 この秋空に想う 】


今朝は快晴で。
気持ちのいい朝。

ここの所お天気も良くて空だけでなく
気持ちも明るい。

しかも今日はルイの誕生日。

この日の為に準備して来た。
ルイのお誕生日を祝えるのが嬉しくて。

私も今日はお休みで
ルイにもお休みを取って貰ってる。

その為に昨日は遅くまで公務がびっしり
埋まってたけど。今日はずっとオフ。
…しかも明日の夕方まで。

普通のお休みでも嬉しいのに、今日は
お天気は良いし大好きなルイの誕生日。
とってもスペシャルな日にしなきゃ。

そう張り切って。

ルイとの待ち合わせは9時。
私が向かうつもりだったのに、ルイは
城まで来てくれると言って。

ルイの希望で今日は遠出をする。
湖の別荘まで。

だから未だ朝と言える時間の今、私は
彼とお昼御飯に食べるサンドウィッチを
準備してる。
貴族のルイにシェフ以外の手作りなんて
…って思ったけど、以前夜の公務の後、
私の作ったスープを美味しそうに食べて
くれたから。

城下で暮らしていた時と違ってもう今は
プリンセスの私は台所に立つ事は無い。
お城にはお抱えのシェフが居るし彼らの
お仕事を邪魔しちゃ悪いから。

でもたまのお休みにちょっとだけ間借り
してお菓子を焼く事くらいはあった。

意外な事にお菓子作りが得意なアランが
色々教えてくれるし、レオから他国の
お菓子の本なんて借りたら是非作りたく
なってしまって。

そんなお菓子をお城の皆にお裾分けして
食べる事も楽しみで。


でも、お料理は殆どして無かった。
シェフ達の一生懸命考えてくれた献立が
あるのに、そこに私の作った素人料理を
入れたり代わりにだなんて言えないし。

でも今日は。

大好きな人の為に料理を作る。
そんな城下では当たり前の事をルイに
したくて。

まだルイには内緒。

本当は公務が遅くなっても昨日の夜から
一緒に過ごしたいって言われてたの。
…ルイのお願いだから全部叶えて上げた
かったけど、私もどうしてもルイの為に
色々作りたくて。

だから昨日の夜、公務の後に夜のお城の
キッチンで下拵えをして。
一緒に居てくれたユーリには遅くまで
申し訳無かったけど、ユーリのお裾分け
分のサンドウィッチも一緒に。

作ったのは…生ハムとお野菜のバケット
サンドと蒸し鶏のバジルサンド。
それからスープなら好んで食べてくれる
ルイの為に冷めても美味しいスープと…
一番のメインはお誕生日ケーキ。

2人で食べるから小さめのホールで。

2人分なのに多過ぎるかな…?

でもルイは少食だから、そんなに沢山は
作って無い。私も彼の前でそんなに沢山
パクパク食べられないし。

…綺麗なルイ。

そんな彼の前で大口開けてパクつくのは
まだ恥ずかしくて。

それにポロポロ零したりして、マナーの
悪い子だって思われたくないから。

そんな『恋する乙女』な自分に…今更
ながら恥ずかしくなって1人キッチンで
キャーキャー浮かれながら作ってたの。


生ハムのサンド…よし、
蒸し鶏のサンドもよし、
スープもちゃんと冷ましてから入れた。
とろみを強くしてパイで蓋したから後は
零さない様に気をつけて。

ケーキも、ちゃんと潰れないように
大きめのバスケットに入れた。

うん、完璧。
後は向こうで開けるワインとグラス。

ふふ、
赤ずきんちゃんのバスケットみたい。

そんな事を思いながら。


頭の中にはルイのはにかんだ笑顔。

あの笑顔が好き。
ルイの優しさと不器用さが滲み出ていて

あまり表情に出ないルイだけど、それは
噂されるように冷たいんじゃなくて、
彼がとても不器用なだけ。

本当はとても優しくてピュアな人。
プリンセスに選ばれてから数々の困難で
助けて貰った…言葉は厳しかったけど。

そんな出逢った頃からの彼を想いながら
私は鼻歌まで歌いながらセットした。


大好きって想いを込めて。



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