L!

□A black lie
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「海未ちゃんなんて、大嫌いっ」

「…そうですか」

本日、何度目か分からない言葉を軽く流すと、穂乃果は不満そうな顔をしていた。
本心も目論見も解りきっているとはいえ、何度も繰り返されると不安になってくる。まぁ、狼狽えて欲しいのが目的だろうから、顔には出さないけれど。そろそろ、反撃と行きますか。

「ところで、穂乃果」

「なぁに、海未ちゃん?」

ようやく何か反応したかと、穂乃果はわくわくしているようだけど、生憎その期待には応えられないだろう。

「エイプリルフールに嘘を吐いて良いのは午前中だけだと、知っていますか?」

「うぇっ!?」

これは最近、何かで聞いた情報だ。幾つかの国のルールではあるけど、日本にはまだ定着はしていない。それに倣っている人もいるらしいが。

「もう、海未ちゃんってば、変な嘘吐かないでよ」

今は放課後なので、午前中などとうに終わっている。先迄の余裕は何処へやら、焦っているらしい雰囲気が伝わってくる。

「嘘ではありません。調べれば直ぐに分かると思いますが」

日本では確定してないこともですが。

「嘘っ、ホントに?」

穂乃果の表情は徐々に青ざめて来た。ここで、とどめと行きましょう。

「なのに、穂乃果ときたら…嫌い嫌いと、そんなに私のことが嫌いだったんですね」

わざと傷付いたように目を伏せて言ってやると、穂乃果は言葉を失っていた。

「あ…ぅ…」

ちょっとやり過ぎました。穂乃果は多分、今凄く自分を責めてしまっているでしょう。ここで、ネタばらしですね。

「まぁ、日本ではまだ100%は定着していない話ですが」

「…へ?」

「穂乃果があまり嫌い嫌いと嫌になる程言ってくるので、仕返しです」

「〜〜〜〜っ!!?」

内心、ちょっと勝利の余韻に浸っていると、ガッチリと肩をホールドされた。

「海〜未〜ちゃ〜ん〜」

穂乃果は顔を真っ赤にして、涙目で此方を睨んでいる。ハハハ…怒ってますね。怖いです、穂乃果。

「穂乃果が悪いんでしょう?物事には限度というものが…」

「海未ちゃん、うるさい」

「っ」

嫌いと言い過ぎた反動か。
悪戯し過ぎた天罰か。

この後、言葉ではなく行動で愛情を注がれた。



END

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