M☆

□朝焼けと君と
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春になって、昼はぽかぽかしてつい微睡んでしまうくらい心地好い季節になった。といっても、早朝はまだ少し肌寒い。
でも、私はこの時間が好きだ。

いつもより早く目が覚めたある日。私は、朝食を済ませて早めに家を出た。
いつもの待ち合わせ場所で、一人空を見上げる。

「…ヘヘ」

早朝の、この空の色合いが好きだ。ピンク色と青色のグラデーション。だって、まるで。

「おっはよ〜。まどかっ」
「うひゃあ!?さやかちゃんっ」

唐突に背中に抱き付かれて吃驚したけど、胸がドキドキ早鳴るのは、きっと別の理由で。

「いや、なんとなく早く起きちゃって」

てへへと笑って誤魔化すと、ふーんと言って空を見上げる。

「この時間帯の空って綺麗だよね。まるで…」

小さな声で呟かれた言葉は、突然の風に拐われてしまった。

「さて、早く起きてものんびりしてたら遅刻しちゃうよっ」

急に走り出した彼女の頬は紅くて。
きっとそれは朝焼けのせいではなくて。

「待ってよ、さやかちゃんっ」

胸がむず痒くなるのを感じながら、私は彼女の背中を追った。

―まるで、私達みたい。

拐われた言葉は、確かにそう聞こえた気がする。



END

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