『転生特典はガチャ〜最高で最強のチームを作る〜』外伝

□番外編
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「離せ! 離してくれ! オレは間違ってない!!!」

両手に手錠をかけられてパトカーに乗せられて警察に連行されていく天之川光輝と坂上龍太郎。
そんな彼らの姿を京矢とハジメ、雫と香織、直葉とマリアとセレナは呆れた顔でそれを見送っていた。

「あいつ、何がしたかったんだ?」

京矢の呟きが響く。その場にいる全員がそれに同意していたのだった。








さて、全ては先日の昼頃まで遡る。








京矢がマリア・カデンツァヴナ・イヴの武道館ライブのチケットを五枚入手した事に始まる。
入手ルートに関しては、当然ながらマリアから直接渡された結果であり、京矢達とは別口でマリアからセレナにも渡してある。京矢達にはセレナを連れてきて欲しいそうだ。
その内の一枚はその日の内に直葉に渡して残りは四枚、自分の分を除いても三枚余る計算である。

自分の分を除いた三枚のチケットをどうするかと頭を悩ませていた京矢の頭の中に浮かんだのは、雫から頼まれていた香織の恋のサポートの事である。
ハジメへのアプローチの尽くが主に光輝が原因でマイナス方面に傾いている彼女とハジメの仲を取り持つ為の第一歩としてライブを利用しようと考えたわけだ。

なお、もう1組の邪魔な檜山一味はこの間、京矢への襲撃を企てていたので先手を打って全員をボコボコにした上で48時間耐久コサックダンスを強制的にやらせたので暫くは動かないだろう。

チケットも既に完売で手に入ったとしても当日券など予約でいっぱい、このチケット自体も最前列の席なので、このライブならば光輝も入ってこれないだろう。
……同じ最前列の席は既に一介の高校生には手の届かない金額に跳ね上がっているので、どう頑張っても予め購入していない限り無理としか言えない。

そう考えてチケット二枚を雫に渡し、一枚を自分からハジメを誘うと告げた。






そこまでは良かった。

ハジメには雫達とは一緒に行くとは告げずに誘ったが、問題は雫達の方だった。

雫からの誘いに香織は喜んで同行に承諾したのだが、そこで待ったをかけたのが一緒にいた光輝らしい。
自分と龍太郎も一緒に行くと言い出したそうだ。チケットも無いのにどうするのかと言うのが疑問だが、当の光輝は当日でも十分に手に入ると思った様子だ。




これが光輝と、序でにトバッチリの龍太郎の不幸の始まりだったりする。










「えっと……何で白崎さん達まで?」

ハジメが京矢にそんな疑問の声を向ける。京矢の義妹の直葉がいるのは良い。マリアの妹のセレナが居るのも良いし、彼女が居るから他の観客よりも早く入れて楽屋にも特別に通して貰える。京矢はセレナのボディガード役という事で関係者扱いというわけだろう。

そう、それは良い。

「そりゃ、二枚ほど雫に譲ったからな」

そう言葉を続けてくれる京矢だった。
そして、武道館に着いたらそのマネージャーから本当に楽屋まで案内されたりと、アイドル相手に交友関係がある友人に驚きしか湧かないハジメの姿があった。









一方、チケットが手に入らなかった光輝と龍太郎は予想以上に多い人の中で雫と香織を探している途中、

「あれは南雲と鳳凰寺!」

何故か彼が探している二人といる京矢とハジメの姿を見つけたのだった。

(なっ。何であの二人が此処に居るんだ!? 香織と雫と一緒に居るんだ!?)

しかも、二人を連れてその京矢とハジメが何処かに行く姿も見えた。

(なっ、何を考えているんだ二人は!!? あんな奴等と一緒に何処に行く気なんだ? そんなの許可できるわけがない!!)

その二人以外にも二人程女の子の連れが居るのが見えて光輝は人を掻き分けて京矢達の後を追い掛けようとする。
京矢達が入って行った場所には関係者以外立ち入り禁止の札が掛けられていたが、構わずに入ろうとする。

当然、そんな事をすれば警備員に見咎められる訳で。

「何をするんだ!? あいつ等も此処に入って行ったんだ!!!」

「彼等は関係者だ!」

「そんな訳無いだろう!」

彼を止めようとする警備員を振り払って尚も中に入ろうとする光輝。そんな光輝に着いてきて目の前の事態に戸惑っている龍太郎。

「離せ!」

彼を止めようとする警備員を突き飛ばして、後ろにいる龍太郎に「行こう」と声を掛ける光輝。

ライブ会場の入り口付近では多くの人が居るために当然ながら、多くの人の注目も集まる。
二人組の高校生が関係者以外立ち入り禁止のエリアに警備員を突き飛ばして押し入ろうとしている構図で有る。
どう考えても大問題なのだが、等の光輝は京矢とハジメが勝手に他所から持ってきた立ち入り禁止の札を置いただけ、警備員はそれに気付かずにいただけと考えていて、龍太郎も光輝が大丈夫と言っているなら大丈夫なのだろうと思っている。

押し入っている形になってしまった二人に応援の警備員が駆け付けてくる。そして、最後には冒頭に繋がってしまうこととなるのだった。



















その後、数日後のニュースで話題になった事だが、光輝達がいる少年院の受刑者達が光に包まれて行方不明になると言う事件が起こった。
そんな現代の神隠しに巻き込まれた光輝と龍太郎の消息はそこで途絶える事となる。

京矢はその状況から異世界か次元世界かは分からないが、そのどちらかにでも呼ばれたのかとセフィーロと時空管理局に関わった経験から推測していたが、ゲアブランデと呼ばれる異世界に巻き込まれる形で召喚、慎重すぎる勇者と一緒に周囲を別ベクトルで振り回しつつその世界の魔王を倒す為に活動していたので特にいつの間にか二人の事はすっかり忘れていた。
……探す事は出来たかもしれないが、その報酬が光輝と関わる事なのは労力に合わないので放置する事に決めたのだし。

光輝達が消息不明になってから数年後、自らを神と称するエヒトを名乗るビスクドールの様な少女に乗っ取られた時空管理局による地球侵略に対して、ハジメ達にキラメイストーンを託し自身はガイソーグとして戦いこれに勝利する。

エヒトとの決戦では、異世界救済に巻き込まれた際に入手した神殺しの魔剣が決定打になり、エヒトと名乗る何者かに乗っ取られていた少女はキラメイレッドになったハジメと仮面ライダーセイバーに変身した京矢によって倒され地球に多くの傷痕を残しながらも勝利したのだった。









これは、ちょっとしたズレによる本編に至らなかった世界の、ある者にとってはBADなある者にとってはTRUEな終わりに至るIFの、剪定事象にならず確かに存在していたそんな歴史。
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