綺麗なものは好きですか?

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しかし、それからというもの、あの2人は1度も活動に顔を出すことは無かった。
そればかりか、大学でも全く見かけなくなった。
2人目当てだった人達は、1人、2人と辞めていき、最後に残ったのは本当にここを望んでいた少数人だけになってしまった。
陽はもちろん、成深もその中の少数人に入っていた。

活動が始まってから2ヶ月後、気温は夏のそれに近くなり、ラフな格好をよく見かけるようになった頃。
2人はやっと大学に出て来て、ついでとばかりにサークルにも顔を出した。
てっきりもう来ないものだと思われていたようで、彼らが入ってきたときにざわめきが起こる。
正午を回り、日が高く昇った時間で、煌太や成深はいなかったが、陽はいた。
ちょうど授業がなく、暇だったのでサークルに来ていたのだった。

彼は、相変わらずフレンドリーな笑顔で真希と優也に話しかけた。
他人からすると、恐れ知らずと感じる行動だ。
しかし、陽なら恐れを知らずとも何の違和感も無い。
周りの人間は心中ではハラハラしながら表情には出さずに、その様子を覗き見している。
つまり、関わる気は無いようだ。
周囲の人間より、陽は何十倍も性格のいい人間であることが窺い知れる。
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