短編
□温泉旅行
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今日は待ちに待ったイルミさんと温泉旅行!
車を何時間か走らせると風情のある街並みが見えてきた
「イルミさん!見て見て!川!」
「川?うん、川だね」
「わ〜!いっぱい旅館があるね!」
「そうだね」
「お土産屋さんもたくさん〜〜!あぁ〜!楽しそう!!」
「少し落ち着こうよ」
二人を乗せた車は温泉街で最も高級な旅館前に止まった
「凄い…この雰囲気…高そう…」
「値段なんて気にしなくていいから、ほら入るよ」
イルミに手を引かれ、旅館内に入ると女将さん達が総出で迎えてくれた
「イルミ=ディスクラ様、本日はようこそお越し下さいました。長旅でお疲れでしょう、お部屋にご案内致します。」
そして装飾が煌びやかな長い通路を歩いて、離れにある部屋に案内された
「ディスクラ…?」
「こんな所でゾルディックってバレても面倒だしね、偽名」
「ヘェ〜…わ!イルミさん!お風呂ある!!」
サラとイルミが宿泊する部屋には、露天風呂が和の雰囲気漂う広い庭の中に佇んでいたり、ベッドはダブルベッドが二つ連なっていたり、アメニティーまでもが高級品であり、その豪華さにサラは部屋中を散策しながら飛び跳ねて喜んでいた
「サラはしゃぎすぎ」
「だって……イルミさんと旅行なんて滅多にないことだもん…」
珍しく休みががとれたからね、と言いながらイルミは服を脱いでいく
「…っえ!?何で脱いでるの!?」
「え?風呂入らないの?」
「入る…よ…ッ」
「何でそんなに遠ざかるの?」
「や、その、ねぇ…」
ゆっくり後ずさりするサラの腰をイルミは片手でがっしり掴む
「…一緒に入らないの?」
「入り、たくない…ことはないんだけど……その、」
サラにはイルミと共にお風呂に入れない理由があった
それはーー…
「……女の子の日なの」
「サラには男の日があるの?」
「……そうじゃないよ…」
イルミは男兄弟で育ち、女性と交際することも無かった為に月経の存在すら知らなかった
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