短編

□どうしてこんなに
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「クーロロっ」

「なんだサラ、また来たのか」

「なんだって何よ、愛しのサラちゃんが来たよっ」

「愛しくも何ともないが」

「まーたそんなこと言っちゃって!」


俺とサラは幼馴染みのようなもので、幼い頃から流星街で共に育った

育った、というよりは 生きた

旅団を創設する時にはサラも誘ったが、組織に囚われたくないと入団を断った

それがサラらしくもあるのだがーー


「サラじゃないか」

「あ!マチ!パク!」

「随分と久し振りね」

「うんうん!久しぶり!パクまたおっぱいおっきくなった!?」

そういって無邪気にパクの胸を揉むサラ



「あっ、フィンクス!」

「おう、サラ 久しぶりだな」

「久しぶり〜、わ、フェイもいる!」

「さきからいたよ 見えなかたか」

「あはは、ごめんごめん!」

サラは笑いながらフェイタンの背中をバシバシ叩く
……これがサラでなかったらきっと ペインパッカー発動だろう


「おっ サラじゃねぇか」

「本当だ、おいサラ!」

「ノブナガ!ウヴォー!ウヴォー、高い高いして〜!」

「いいぞ〜〜!」

「ひゃー‼︎‼︎ 高〜い‼︎」


流星街出身の団員とは当然サラだって顔見知りであるから、仲が良い

非団員なのにも関わらず、このようにアジトに顔出しを許してしまうのは、サラの生まれ持つ天真爛漫な性格故だろうか


「シャル…ッ!」

「わっ、ビックリしたぁ… 突然飛び込んで来ないでよ、サラ」

「シャル いい匂いがするんだもん!」

「えー、そんな嬉しいこと言っちゃう〜?久しぶりに会えたし、今日飲みいこっか!」

「うん!行くー!」


……しかし何故か


団員と無邪気に絡むサラの姿を見て、俺の心はジクジクと痛む


「サラ」

「なぁにクロロ?」

「来い」


どうしたのー?と呑気な顔をして近づいてくるサラ



ちゅ


可愛らしいリップ音を立ててキスをしてやると、一気に顔が真っ赤になるサラ


「………っ、クロ、ロ…?」

「……今夜、会いに来い」






ーー



クロロの部屋を前にして、足が竦む
突然奪われた人生初めてのキスに、あれからずっと心臓がうるさい


本当はずっと大好きなクロロ



「緊張するのも……無理ないよ……」


コンコン、と数回扉をノックすると どうぞ、と中から声がする

「クロロ…」

「…どうした、いつもみたいに "愛しのサラちゃんがきたよ〜" とか言わないのか」

「…っ、」

「まぁいい、座れ」


モノトーンで統一された部屋は無駄にスペースを占めてる本棚の他、余計な物は何もなくシンプルである


「俺以外の団員に会うのは久しぶりだったか」

「え…まぁ、うん…。シャルなんてこの前 招集なかったから、かれこれ半年ぶり?」

「そうか」

「そういえば、シャル香水変えたよね、…前と香りがちが」

「サラ」

クロロは立ち上がるとソファに腰掛けているサラを上から見下ろした





「シャルシャルうるさいな」

「……クロ、「何故だ」

「…な、なにが?」

「どうしてお前が他の男と話すと こんなに面白くないんだ」

「……、」

「どうしてこんなに腹が立ってしまう」

「…ぇ、」

「どうしてこんなに…心臓が痛む」

「……ッそれって、」


「教えてくれないか……理由を」





ーー思考が止まった

こんなに深いキス、知らな、い



end
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