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□私だけの
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窓で切り取られた空を見る。
兄弟として育ち、今は道を別ってしまったマークス兄さん。
彼もこの空を見上げているのだろうか。
いつも優しかったマークス兄さん。
彼に私を「裏切り者」と呼ばせてしまった。
その罪悪感が私を押し潰しそうになる。
「私は良い妹ではありませんね?兄さん」
呟きながら、けれど……と口元が緩むのが分かった。
兄妹として一緒の時を過ごすだけでは得られなかったもの。
私にだけ向けられる鋭い瞳。
私は知ってしまった。
例えそれが甘いものでなくとも、自分だけに向けられた激情の素晴らしさを。
「早く戦場で会いたいです、兄さん」
ずっと私だけ見て欲しいから。
どちらかが捕らえて繋ぐまで、
「競争です、ね。兄さん」
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