nobel

□焦げつくプールサイド
1ページ/2ページ

「なー、おい。」
ぷちゅ、と弘樹の白い指先がホースの口を潰した。

「わっ!ひどいですよヒロさーん。」

勢いを増した水が弧を描いて襲いくるのを、マトモに正面から受け止めてしまった野分が笑顔で言った。頭のてっぺんから水浸し。今日の気温は36度。おかげで少し涼しくなった。

晴れて大学1回生となった野分の夏休み。
友達である社長の“山さん”が海辺の別荘を貸してくれた。
真っ白なギリシャ風の家屋。
玄関もリビングもだだっぴろい。
ひょうたん型のプールまでついている。
「おまえの友達すげぇな。」大人が軽く8人座れそうなソファの下に皮のボストンバッグを置いて弘樹が言うと、野分も背負っていたいつものリュックをおろし、「なんでも10年間契約で数10人の方とシェアするんで、比較的安く保有できるそうですよ。」と応えた。
「そんなシステムがあんのかよ。考えたもんだなー。」カラカラとサッシを開けてリビングから庭に出ると、真っ赤なハイビスカスが太陽の光を一身に受けている。
そばに水栓があり、ホースがついているので植栽用だと思い弘樹は蛇口をひねった。
「あ、スプリンクラーついてます。どうやって作動するんだろ?」野分が地面にしゃがみこんでるのを水やりしながら見てたら、弘樹のいたずら心が作動した。
ホースの口を指で潰して野分に水をぶっかける。
びしょびしょに濡れているというのに、満面の笑顔でちっともイヤそうじゃない。
「な、なに笑ってんだよ!もっと濡れちまえ!」いたずらした甲斐がなくて、なんだか自分だけがはしゃいでるみたいで、恥ずかしくなった弘樹はホースを左右にぶんぶん振って野分を水浸しにした。
「あはは!ヒロさんは本っ当に可愛いです!」大きな歩幅でいっきに詰め寄ってホースを持つ手を捕獲する。
そして片腕だけで抱きしめる。
野分の濡れた服をダイレクトに感じた。

冷たい。

「一緒に濡れましょう。」

どきん。

妙に艶めいた野分の声に心臓がはねる。

と、次の瞬間、ホースを奪いとられ頭のてっぺんから水をぶっかけられた。
今ときめいたばかりなのにこの仕打ちは。

眉間に皺を寄せて目つきが悪くなると、野分がホースを手放して両手で弘樹の顔を包み上を向かせてキスをする。
いついかなるときも野分からのキスを拒むことなく受け入れる弘樹は、目を閉じて少しづつ眉間の皺を消し、太陽の熱と野分のキスを一身に受けた。


2人以外に誰もいない。
だだっぴろい貸し切りの別荘。
青い空。熱い太陽。ホースから水が流れ続ける音。
ロマンチックで解放的な状況に酔いしれる。

野分の両手は弘樹の顔から首へ滑り、鎖骨から胸まで降りた。
乳首をピンポイントで摘まむと上半身だけ跳ねた。
やさしく捏ねて、引っ張って、押しつぶす。
こぼれる甘い吐息。
さっき消したのにまた眉間に皺が寄る。
気持ちよくて落ち着かない。
しどけなく開いた唇から呻き声を洩らした。
「っ、のわっ……も、ソコばっか、やめ……っ」
「びしょ濡れのヒロさんヤバイですね。」
「っくしょ―――、おまえもびしょ濡れじゃねーかよ!」
「感じすぎです。すごく可愛いことになってますよ。ここ。」

濡れて肌にぴったりくっついたシャツに、弘樹の丸く尖った乳首が立っているのを弘樹自身に見せつける。
恥ずかしい。恥ずかしさで顔が真っ赤になる。なんてあついんだ。
でも、それよりも、もどかしい。
もっと確実な刺激がほしくて。

シャツを乱暴に脱いでコンクリートに落として挑むように言う。
「おまえも脱げよ。」
「か、かっこいいです!」
野分は黒目がちな瞳をキラキラさせてシャツを丁寧に脱いで、そっとコンクリートに置いた。
「ちょっと待っててくださいね。」
ついでに流しっぱなしの水栓を閉めに行く。
律儀な野分らしい。

弘樹は濡れたコンクリートの上に座り込んで待った。
野分は戻ってくると弘樹をうしろから抱きしめた。
「お待たせしました。続きしますね。」
「いちいち言うな。」
「ヒロさんは可愛いです。」
「それも言うな。」
遮るものがなくなった乳首をうしろから両手で摘まんで捏ねた。
「・・・っ!」
肩を強張らせて声を飲み込む仕草がたまらない。
「誰も聞いてないです。俺だけ。声、聞かせてください。」
手を口に当てて声が出ないよう規制しながら小刻みに首を横に振る。
「もぅ。ヒロさん。じゃあ耳舐めちゃいます。」最後の方は既に左耳を舐めながら言ったから鼓膜にダイレクトに野分の声を感じた。
舌を耳の穴に入れて舐めまくる。
ぴちゃぴちゃ、わざと音をたてて舐めまくる。
左半身に鳥肌がたった。
下半身に血液が集中した。
「あぁっ!ダメだっ……んっ…ぁ、ぁ、あぁっ……!」
口を規制してた手は野分の髪をわしづかみにした。
野分は望んでいた喘ぎ声と、素直に快感を表現した弘樹の手の動きに満足して乳首と左耳への愛撫をさらに激しくする。 
「ヒロさんいい声です。もっと聞かせてください。」
「…ん…み、耳…やめっ…あんっ!ぁ、ぁ、あぁーっ」


骨ばった野分の手が乳首から離れ、弘樹のカーゴパンツの上から下肢をつうっと撫で上げた。弘樹は大きく身震いする。
「どうしましょうか。」
今度は右耳をぴちゃぴちゃ舐めながら言う。
「む、むかつく…。どーせ、さ、さわっ…んだろっ!」
全部言い終わるのと同時に野分は弘樹のベルトをはずして、ジッパーをおろして、昂りかけているものを取り出す。
1回、2回、3回、上下に扱いたら芯をもってたちあがった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ