HUNTER×HUNTER 夢小説
□ステーキ?×ト×シケン
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『サバン市ツバサ町2-5-10…ここですね』
彼女、シルヴィアは一つの定食屋の前にいた。
一見ただの定食屋であって、本当に目的としているものが行われているのか…
しかし、何事も見かけに騙されてはいけない。
何度も体験したことだ。
シルヴィアはそう思い、定食屋の扉を開けた。
ガラッ
「へい、いらっしゃい!」
何度も言うが、ただの定食屋だ。
いくつものテーブルに椅子、カウンターの奥には店員と思われる男性がこちらに顔を向けていた。
「ご注文は?」
そう問われると情報通りの言葉で返した。
『ステーキ定食を』
「……焼き方は?」
『弱火でじっくりと…』
「あいよ、奥のテーブルにどうぞ」
女性の店員に案内された奥の部屋には、きちんと焼かれたステーキがあった。
『……ありがとうございます』
まっすぐ女性店員の目を見て例を言うと、彼女は「い、いえ…ごゆっくり」っと頬を赤らめそそそっと部屋を出て行った。
そんな彼女にシルヴィアは首を傾げた。
『(何か失礼なことをしてしまったのでしょうか?しかし、あの方は…
「いい、シルヴィー?お礼はしっかり相手の目を見て言うのよ!」
と、仰っていたはずですが…)』
シルヴィアは敬愛する者を思い出しながら疑問にしていたが、その疑問は咀嚼した一口サイズのステーキと共にごくりと飲み込んでしまったのだった。
――――――
――――
――
チンッ
徐々に下がっていたエレベーターがようやく止まった。
液晶にはB100と写っており、だいぶ降りたことが証拠となっている。
ナプキンで丁寧に口元を拭い、席を立つと、タイミングよく扉が開いた。
その先にはすでに会場に到着していた者たち。
自分に興味や殺気などあまり良い視線とは言い難いものを向けられていることは当然シルヴィアは気づいている。
「どうぞ、お受け取り下さい。」
ふと、足元から声がして、顔を向ける。
『(豆…)』
の顔をした人物(?)が自分に何かを差し出していた。
「200」と書かれたプレートだ。
「こちら、受験番号となります。必ず失くされないようお願いします」
シルヴィアはプレートを受け取ると辺りを見回した。
ざっと見た限り、自分より受験番号の人はいない。
つまり、受験番号=会場に到着した順だとシルヴィアは瞬時に予測できた。
「やあ!君、新顔だろ?見ない顔だからすぐ分かったよ!」
突然話しかけたのは、「16」のプレートを付けた小太りの男だった。
「俺、今年で35回目だけど、君みたいな人は初めてだからね!あ、俺トンパっていうんだ!よろしく!」
『………。』
よくしゃべる男に対し、無言のシルヴィア。
その反応にトンパは気まずさを感じ、「あ、そうだ!」と切り替えるように声を上げ、自分のバッグを探り始めた。
「お近づきの印に…ほい、これ!一本あげるよ」
と、一本の缶ジュースをシルヴィアに渡した。
が…
『………。』
「あ、あれ?」
シルヴィアはトンパもジュースもなかったもののように無視し、その場を離れようとした。
自分に近づいた時から気づいていた。
その瞳の奥に隠された意志を・・・
『……人に毒を盛るのでしたら、もっと上手く隠すことをです。
目と殺気が隠せていませんから、すぐに分かります』
その一言を残して、シルヴィアは今度こそその場から離れた。