未来へ

□第十六話
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眩い光たちに楽しい音楽…
きらびやかに輝くアトラクションが並ぶその空間でケラケラと笑う声が響き渡る。





「だせ――似合わなーい」




イクトについて行った先には、塀が囲い込む遊園地。もうすぐ取り壊されるが、ブレーカーを入れるとすこしの間だけ動く。

数々のアトラクションを全力で楽しんだあむは、その傍で見てるだけの張本人を引っ張りだし、ちびっこ用のティーカップに自分と一緒に押し込んだ。




「あ――おっかしー…はしゃいじゃった。こんなすがたママたちには見せらんないよー」


「…家族なのに?」


「うんっ、あたし家では外キャラだから」


「外キャラ?」


「んー…てゆーかお姉ちゃんキャラ?妹がいるからしっかりものじゃないといけないし、遊園地にくるといつもあみの好きな乗り物から乗るんだ」





共働きでよく妹の面倒を見ていたためか、「しっかりもののお姉ちゃん」と両親に言われたためか…
すっかり板についていた外キャラ…

でも本当は…




「外キャラもまぁキライじゃないんだけど、でもさホントは思いっきり好きなのばっかり乗ってみたかったの」


「………強いな」


「え?」


「そんなふうにキャラを作れたらオレももっとラクなのかな」




どこか遠くを見つめるイクトにあむはただ耳を傾ける。




          ・・・
「この遊園地…むかしみんなでよく遊びにきた。でも、もうすぐなくなる。

おわるんだよな。好きな乗り物を選んで迷ってる時間はもう――おわる」


「(イクト――…)」





彼がどんなことを考えているのか、どんな悩みとむきあってるのか…自分には難しくてよく分からない。
けど…――





「――あのさ、あたしはきょうはじめてここにきたから、だからこの遊園地の残りがあと何日だろうと、あたしにとってはきょうからがはじまり。
だから、イクトもきょうをまたはじまりにしようよ」







ふっ…と消えた電気と共に、アトラクションも停まった。




「あ…あれ?止まっちゃった…」


「ブレーカーがおちたか…帰るか、あむ」


「…うん」





ティーカップから降りて、二人並んで帰る姿をあいは塀の上で見ていた。

両足の太ももに両肘を立てる彼女だが、チェーニャとキャラチェンジでついた尻尾がゆらゆらと揺れている。




『…“今日がまたはじまり”か…』


〈あむさん、うれしそうだね〉


『…そうだね』





小さくなっていく二人の背中を口角を小さく上げながら眺める。






〈あいちゃん、うれしそう!〉


〈めずらしく、顔にでていますわね〉


〈いーんじゃないの〜?〉


〈こういう時でしかほとんど見られませんから〉





あいの様子を見て、本人に聞こえないくらいの声で会話するしゅごキャラたち。



今日のことはそれぞれいい思い出となっただろう。




消えた電気の代わりに空で輝く星たちはそんな彼らを見守るのだった。
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