ヒロインの(非公式)妹はモブ兼、隠れサポーターを目指します
□非公式妹、姉兄と会う
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誕生祭当日。
「いよいよ」と言いたいところだが、昨日前世の記憶を思い出したのだから、特に長い間待っていたわけではない。
早朝からお風呂に入れられ、香油にマッサージに顔の手入れ…髪のセット、ドレスの用意、靴の用意etc.…
……貴族って大変だな(他人事)
主にリリアたちが力を入れて、最高の仕上げにしてくれたから、鏡を見て「え、誰…」と昨日と同じ反応をしてしまうほどの力作が出来上がった。
誕生祭では、女王であるお母様と姉兄以外にも今日参加する貴族たちの挨拶があるのだろう。
えー…大変だな…
だが!私は!この!大イベント!見逃せない!!!(超声デカ)
過去ストーリーの「ティアラ、プライドとステイルに会う、の巻」で幼き二人に会うことが出来るのだ。
子どもの頃のプライドとステイル…本編ストーリーでは、ステイルルートの過去編でしか登場しなかったのだから、この機にしっかり目に焼き付けておかなくては。
それに、プライドとステイルの様子を見ることができる。
もし、ゲーム通りの二人だったら、ステイルのお母さんはもう…
いや、二人の様子をこの目でしっかり見るまで、決めつけてはダメだ。
「ティアラ、シルヴィア。準備はいいかい?」
お披露目となる私達を迎えにきたお父様がエスコートをする。
ゲーム通りではこうしてお父様と並ぶことが出来なかったと思うと、じんっと何かが胸に広がった。
『はい。』
「は、はい…お父様…」
「おやおや…ティアラ、まだ緊張しているのか?」
「………。」
父越しに並ぶ片割れ、ティアラをちらりと見る。
………ねえ、本当にこの子が私の片割れって言っていいの?
私の準備ができ、部屋の扉を開けたら、既に天使が舞い降りていた。
ふわふわの金色の髪に白い肌。柔らかい目元は、いつも通りカワイイ。
さらに、黄金色の瞳に合わせたオレンジと黄色のドレスがこれまたとても似合っているのよ!
もうねぇ、光っているのよ。何がって?ティアラがよ。父という壁がある今でも漏れだすヒロインオーラ。
大丈夫?私隣にいて刺されない?前世のように。
今日も癒しの可愛いヒロインで栄養補給していると、不安を含んだころんとした声で「シルヴィア…」と呼ばれた。
「シルヴィアは…緊張しないの?」
『………。』
そりゃあ、ねぇ?もう前世の分を含めたピ――歳の私でも人前に出るのは緊張するよ、もちろん。
だが、それに比べてティアラは本当の6歳だ。
似非6歳の私とは緊張の大きさが違うだろう。
更に、ティアラは姉兄に好かれだろうかと不安に思っていた。
『…緊張はしてますが、ティアラなら大丈夫でしょう』
「え?」
プライドは分からないが、ステイルは塔に閉じ込められたティアラにこっそりと会いに行って気にかける所があった。
少なくともステイルは多少の好感は持ってくれるだろう。
「どうして…そう思うの?」
『………勘です』
勿論、ゲームの内容なんて言えるはずがない。勘と言えば、何とかなるさ。多分。
この大きな扉に来るまでに遠くでなっていたラッパの音が今度は大きく聞こえた。
私たちの入場の合図だ。
「さ、行こう二人とも」
それぞれに差し伸べるお父様の大きな手にそっと己のを重ねてた。
響きの良い声でお父様、ティアラ、そして私の名が呼ばれる。
盛大な拍手とともに重い扉が開き、父に手を引かれまま一歩踏み出した。
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