ヒロインの(非公式)妹はモブ兼、隠れサポーターを目指します
□非公式妹、準備する
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前世で平々凡々と過ごしていた私は、仕事帰り、通り魔によって背中をぶっすり。
その転生した先は、まさかの前世の私がハマっていた「君と一筋の光を」、略して「キミヒカ」の世界だった。
しかも、本来存在しない「キミヒカ」のヒロイン、ティアラの「双子の妹」として生まれたのだ。
前世の記憶を思い出したのが誕生祭の前日ってどうよ。もっと早く思い出しなさいよ、私。
今の名前は、シルヴィア・ロイヤル・アイビー。
この国、フリージア王国の第三王女。
モブでいいのではないかと思っていたが、6歳の誕生祭で、「プライドを含めた公式キャラクターたちを幸せになるルート」を作ろうと決意し、そのために「モブ兼隠れサポーター」として生きることを決めたのだった。
――あれから、3年後。
プライド・ロイヤル・アイビー、11歳。
ステイル・ロイヤル・アイビー、10歳。
ティアラ・ロイヤル・アイビー、9歳。
シルヴィア・ロイヤル・アイビーも9歳になりました。
ちょっと背が伸びたよ。
誕生祭で決意した翌日から、私はティアラにも内緒に準備を始めた。
当時、6歳の少女にできることなんて片手で数えるくらいだったが、今ではできることが増えて、準備も着々と進めている。
この三年間、本当に平和な日々が続いている。
ステイルが辛い思いをすることもなければ、ティアラが離れの塔に閉じ込められることもない。
二人ともプライドとの関係も良好だ。
あと、母ローザもプライドと頻繁に会うようになった。
誕生祭の3日後。
庭で小鳥と遊んでいる3人を花壇と同化して眺めていると、窓越しにこちらを見ている母を見つけた。
正確に言えば、彼女はプライドを見ていたのだ。
悲しそうに、もどかしそうに娘を見つめる母に、私の予想が当たっている可能性が高くなった。
プライドには申し訳なく思いながらも、こっそり部屋に入り、彼女の髪を結うリボンをローザの書斎扉のノブに引っかけた。
その翌日。
テラスでお茶会を開きながら国のことなどを話す二人の姿が見れた。お父様も一緒だった。
親子の会話としての話題ではない気がしたが、2人がどこか嬉しそうな顔をしていたので、もう何も言うまい。
その辺の木と同化してテラス越しに二人を眺めたあの時は、また私の至福な時間となった。
あの日から、アルバードと一緒にローザがプライドに会いに行く回数が増えていった。いい傾向だ。
私もキャラたちと程よい距離をとり、3人でわちゃわちゃしているのをしっかり目に焼き付ける。
この癒しの空間こそ私の原動力。守るんだ、この笑顔を。
ストーリー通り、プライドが断罪されるとしたら、あと7年。
時間はあっという間に過ぎるもの。少しずつ、手札を増やしていくところだ。
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