Bullet of the promise
□第二六話
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『………。』
キッドが去ったところで終えた番組だが、テレビの前で動かない私に沖矢さんは首を傾げた
「どうしました?」
『いえ・・・あんな気障なセリフをサラッと言って恥ずかしくないのかな…、と思いまして…』
キッドっていくつなんだろう。
あんな気障なセリフよくもまあポンポンと…。
『でも、本当に明日も来るのでしょうか?キッドは』
「鈴木相談役が引き受けるのなら、来るでしょう。自分から持ちかけたことですし」
『それもそうですね・・・では、私は帰ります』
「送りますよ。
外は暗いですし、女性の一人歩きは危険ですから」
『大丈夫です。
自分の身は自分で守ります。そこらのか弱い女性とは違いますよ』
「いえ、女性は女性です。
どんなに強くても狙われることには変わりませんから」
『・・・それって、女は黙って守られろということですか?』
「そうは言っていませんが、念は念を。
それにこのまま帰すと私も後味が悪いですから」
なかなか引き下がらない沖矢さんに結局送って貰うことになった。
『ありがとうございます。マンションまで送っていただいて…』
「いえ、気にしないでください」
住んでいるマンションに着き、“では”と言って車から降りようと立ち上がったら腕を掴まれ、引き寄せられた。びっくりした。
「友梨奈さん。よろしければ、明日も来てくれませんか?」
『え、どうしてですか?』
「明日の夜もキッドは来ますから、マジックの結末も見たいでしょう?
それに・・・
明日も一緒にいれる時間が欲しいからです」
顔が近い距離で話す沖矢さんに胸が高鳴るのを感じた。
だってイケメンが間近で話してるんだよ。甘い言葉と一緒に。心臓に悪い。
『・・・お、沖矢さんがいいのでしたら・・・大丈夫です・・・』
途切れ途切れに言うと、沖矢さんも優しく微笑み“ありがとうございます”と言った。
車から降り、沖矢さんの車が去っていくのを見届けた。
『帰るか…』
と、マンションに入った。