Bullet of the promise

□第六一話
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昴SIDE





本当に小さな寝息をたてながら眠る友梨奈の顔をじっと見つめた。




頭を撫でる手を止めても目を開ける気配はない。



どうやらすっかり眠ったようだ。






また魘されるのではないかと心配するが、友梨奈の表情は安心している様子。






俺の胸に耳を当てたのは心音を聞いているのだろう。



そういえば、人の心音を聞いて落ち着く人もいると聞いたことがある。




恐らく一葵もその一人で同じようにして友梨奈を寝かせたのだろう。



眠る前に流した一筋の涙がその証拠だ。






俺の服を握り今でも胸に耳を当て眠る友梨奈。





そんな彼女を見ていると、ホッとしたのか自分も意識が沈んでいくのを感じた。





沈む前にしっかり友梨奈を腕の中に入れると、あとは徐々に落ちていく意識に抵抗せず身を任せるだけ。





そして、沈み始めて5分もしないうちに、意識が深く深く落ちていった。









自分の腕の中で眠る彼女にいい眠りを…、と祈りながら。








______
____
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「―……ん…す……ん…」








沈んだ意識の中。




聞こえる声にゆっくりと浮上させると…






「起きなさい、沖矢昴くん!!」



「――ッ!」






女性の声に顔を向けると髪の長い女性が腰に手を当てて立っていた。





「……有希子さん…?」



「他に誰がカギのかかったこの家に入る事が出来るの?何度インターホンを鳴らしても出てこなかったから勝手に上がらせてもらってけど、まさか…」







有希子さんは俺の腕の中で未だに夢の中にいる友梨奈を覗き見る。



男女2人が同じベッドで抱き合って寝ているこの状態。当然誤解を招く姿だ。




「友梨奈ちゃんとこんな美味しい展開になっていたなんてね〜…」



「いえ、これは…」



『ん〜…』





小さな声が聞こえ顔を向けると、友梨奈が身じろぎながら目を覚ました。




ゆっくりと体を起こす彼女を名残惜しく開放する。







『………?』



「おはよう、友梨奈ちゃん♪」



『おはよう、ございます…?』






寝起きでぼー、とする友梨奈。



徐々に焦点があってきたのか、目の前にいる人物に首を傾げる。





『……あれ?有希子さん?どうしてここに?』



「昴君に用があって来たんだけど、まさか女の子を連れ込んで寝てたとは♡」



『――っ!///』






有希子さんの言葉に漸く覚醒し俺の方を見ると、慌てて距離を取った。






『ご、ごめんなさい!!///』



「いえ。それより有希子さん、予定の時間より早いのでは…」



「え?…ちゃんと時間通りよ。お昼に来るって言ってなかった?」



「『………え?』」






腕時計で時間を確認した有希子さんのあとに聞こえたのは、俺と友梨奈の間抜けな声。





友梨奈が時間を聞くと、すでに正午を30分回っていた。





午後からバイトだ、と友梨奈は慌ててベッドから降りる。







『あ、これ洗濯して来週返すね』



「分かりました」






友梨奈は上着を着て俺たちに会釈するとそそくさと工藤邸を出て行った。






その後、俺は有希子さんから話を根ほり葉ほりと問われたのであった。






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