Bullet of the promise
□第六八話
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「ひどいな。俺はこれでも緊張しながら“二度目の”告白をして勝負を持ちかけたのに、それを忘れていたとは…」
だから、“二度目”を強調しないでください。
本当の事ですけど…
逃げよう後ろに身を引こうとする私にいつの間にあったのか、赤井さんの右手が背中に回り引き寄せられた。
「俺だけがこんなのでは不公平だ。少々仕置きが必要だな」
『ちょ、ま、待っ――んッ!?』
噛みつくように口を塞がれ、目を閉じるのも忘れる。
初めてキスした時とは全く違い、完全に塞ぐと言うキス。
一度離れたかと思ったらまた塞がれる。
今度はギュっと目を閉じた。
そのまま何度も角度を変えながら繰り返す赤井さん。
経験ほぼ0恋愛初心者の私にとって、これはハードルが高い。
どうしたらいいか分からず彷徨う手が彼の服を握る。
呼吸の仕方も分からずそろそろ限界だ。
このままでは酸欠になり兼ねないと少し口を開くと、ぬるりと何かが口内に入って来た。
一拍してようやく、彼の舌だと分かった。
驚いて瞑っていた目を見開くと、翡翠の目と合う。
それから侵入した舌は上顎を犯したら、偶然当たって奥に引っ込もうとする私のと絡まり始めた。
また角度を何度も変えた長いキスが続き、やっと解放された時にはもう私の体は力が抜けていた。
椅子から立てない。
体を支えることが出来ず、息を整えながら彼に倒れ込む。
「気持ちよかったのか?」
私とは正反対に余裕綽々な彼。
やはり経験豊富な人は違う。くそぅ…
『お、お願いですから…手加減…してください。こんなこと…したことなかったの…ですから…』
「手加減したら仕置きにならんだろう?」
さいですか。
「それで?返事はしてくれるだろうな?」
と、耳元で囁かれ、体をビクッと震える。
返事をする前に逸らしたのはどなたですか?、とは未だに息を整える私が言えるわけがない。
彼の言う返事とは、恐らく先ほどの付き合ってくれというものだろう。いや、それしかない。
顔を覗き込もうとするが、今見られるのは恥ずかしいため、彼の首に腕を回し顔を埋めた。
もう、悩むことはない。
コクリ、と縦に首を振れば、彼は優しく私の髪を撫でた。
『でも、昴さんの時はどうしたら…』
「別に変える必要はないだろう。
…正直他の男と付き合っている事になるのは
非常に気に喰わないが…」ボソッ
聞こえてます。
『どちらも同じ人でしょう?』
「それでも、だ。
お前の瞳に俺以外の男が映った瞬間、普段は目隠しさせて俺の前だけ晒してやりたいぐらいだ」
そこまでしますか!?
サラッととんでもないこと言っているって分かってます!?
ガタブルですよ!
「こっちはお前に出会って長い間、お前に惚れていたのだからな」
自分の身体へ引き寄せ強く抱きしめてくれる彼から、もう嗅ぎなれた煙草に交じった彼の匂いがした。