HQ×黒子夢小説
□第10試合 おにぎりちゃんとテスト勉強
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〜赤葦 SIDE〜
部活休止期間3日目。
バレー部ではレギュラーと控えの部員は先輩たちと合同で勉強会があるらしい。
勿論、木兎さんみたいな赤点者を出さないようにだ。
で、その木兎さんに入部から気に入られてしまった俺も例外なく、その勉強会に参加しているのだが…
「雪っぺー!数学のノート貸して!」
「え〜ちゃんと返してよ〜?」
「おう!」
と、白福さんのノートを持ってどこかに行こうとする木兎さん。
「おい、コラ待て。どこに行くつもりだ?」
勿論、ソレを見逃す主将じゃない。
木兎さんの首根っこをネコのように掴み、足止めする。
「昨日途中から抜け出した奴が今日は始めから堂々とおサボりか?」
鬼のような顔をする主将にタジタジになる木兎さん。
そう、昨日の勉強会では木兎さんが途中で投げ出しどこかに行ってしまったのだ。
エースが試合に不参加とはシャレになんないというのに…
そんな張本人が昨日の脱走に続き、勉強会に参加しないとなると先輩たちも黙っていないだろう。
「さ、サボりじゃないっス!今回はちょっとその…違うところでべんきょーするっていうか…」
「別のところだぁ?」
「そんなこと言って…どうせ勉強サボってどっかで遊ぶんだろ?」
「違う!今回のテストダメだったら何でも言うこと聞くから!」
頼む、と両手を顔の前で合わせる木兎さん。
それをみて主将がため息を一つついて…
「そこまで言うなら…今回のテストで赤点を一つでも取ったら、“卒業まで絶対に我が儘を言わない”約束をこの場でできるな?」
「約束する!」
「…んじゃ、行け」
「オス!って、ああ!もうこんな時間!じゃーなー、明日ノート返すからな!」
と、走っていく木兎さん。
“走るな、静かにしろ”と注意する主将の言葉は聞こえていないだろうな。
「あんな約束して大丈夫か?アイツ…」
「まあ、この場の全員が聞いたから言い逃れとかできないし…いいんじゃない?」
「っていうか、どこで勉強するつもりなんだ?」
謎と不安を残したままだが、結果は今度のテストで分かるだろう。
そんなことを思いながら、俺は途中となっていた数学の問題を解き続けるのだった。