ツイステ 夢小説

□序章編 四
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「あ〜あ……なんっでこんな事になっちゃったかな。ついてなさすぎ……」



「ぶつぶつ言ってる時間はない、行くぞ!」



「ごめんね、アイリン。巻き込んでしまって」



『いいえ…グリムの監督責任は私にもあるわ。気にしないで…』



「今日は散々なんだゾ……」



「アンタはちょっと反省しなさい!」








お怒りになった学園長先生に一度全員即刻退学処分を言い渡された。

食堂にあったシャンデリアは、魔法を動力源とし、永遠に尽きない蝋燭に炎が灯るもの。伝説のマイスターに作らせた逸品ものらしい。

グレートセブンの石像に引き続き、学園設立当初から大切にされていたものを壊されたら、怒るのも当然です。



お値段も当然、学生が払えるものじゃない。



さらに、魔法道具の心臓とも呼ばれる魔法石まで壊れてしまい、二度と光が灯ることはできない。






どうしようもできない状況の中、学園長先生はとある条件をクリアすれば退学を取り消すとチャンスをあげた。






「シャンデリアに使われた魔法石を採掘されたところ、ドワーフ鉱山に行って魔法石を取りに行く」
という事だ。




同じ性質である魔法石であれば、修理ができる可能性があるそう。

閉山してしばらく経つため、魔法石がすべて堀り尽くされているかもしれない。



スペードのマークを頬につけた彼の必死なお願いにより、一晩だけ待ってくれることになった。

ただ、明日の朝までに魔法石を持って帰れなかったら、即退学。



本当に時間がない。






この学園を追い出されたら、アイリンさんたちにはこの世界で生き残ることはほぼ不可能。







「闇の鏡よ!僕たちをドワーフ鉱山へ導きたまえ!」





なんとかして、魔法石を見つけなくては…!!
名も知らない彼の呪文により、鏡の中へ吸い込まれた。











―――――
―――
――






到着したドワーフ鉱山は、暗く、不気味なところだった。







「ここがドワーフ鉱山。一昔前は魔法石の採掘で栄えたらしいが……」



「うぅ……何か出そうなんだゾ……」



「あ、奥の方に家がある。話聞きにいってみよーぜ」



「こんなところに住んでいる人がいるんだ…」



『でもあのお家、明かりがついていませんよ…?』




小屋の中は真っ暗。
本当に人が住んでいるのでしょうか…?
エースくんに続いて小屋の方へ歩いてみた。





ドンドンッ




「こんばんは……って、空き家か。荒れ放題だ」



「ぶわっ!顔に蜘蛛の巣が……ぺぺっ!」



「オンボロ寮と変わらないね…」



「なんか机とか椅子とか全部小さくねえ?子供用かな?
いち、に……7人!多っ!」



「ドワーフ鉱山が栄えていた頃は、さぞ賑やかな家だったんだろうな」


『………。』







慎重に足を進めながら小屋中を見渡す。
見渡す限り、不思議な小屋ですね…。



エースくんの言うように、子供の多い家族だったんだろうけど…椅子も机もすべて小さい。





(大人用の物が一つもないなんて……)





不審に思うアイリンさん。





「ここでこうしててもしゃーない。魔法石があるとすれば炭鉱の中だよね。とりあえず行ってみよーぜ」






謎はいくつか残るが、とりあえず時間もない。
先を進むために小屋を出た。









「……そういえば、ユウの後ろにいる人…名前がまだだったな」




先を歩いている途中、まだ名も知らない彼は思い出したかのようにくるりと後ろを向いた。





「僕はデュース。デュース・スペード、一年だ。よろしく」



『あ、ごめんなさい。アイリンと申します。どうぞよろしくお願いします、デュースさん』



「デュースさん…?
あ、ああ…って、間違ってたら、すまない…その…」





にこっと笑うアイリンさんを見てデュースくんは恐る恐る尋ねた。





「アイリンはその…女…なのか?」


『?そうですよ』





どう見てもそうだろう。と顔をするアイリンだが…忘れてはいけない。ここナイトレイブンカレッジは、“男子”校であることに。






「や、やっぱりそうなのか!?わ、悪い…その男子校に女がいるってことに驚いてしまって…」



「ぼくも女なんですが…」


「そ、そうだったのか!?」




当然驚くデュースくん。
残念な胸のせいでそう見えませんものね「ああ゛?」ひっ……。





『いいえ、どうか謝らないでください。当然の反応だと思います。学園長先生には、許可をいただいて特別にこの学園に滞在させてもらっている身です。
わたしのことはお好きに呼んでください』


「ああ…じゃあ、アイリン…
こんな事に巻き込んでしまって、すまない。本来なら、オマエは処分を受けなくていい立場だったのに…」



『グリムについては私にも監督責任はあります…お気になさらず』





軽い自己紹介が済んだころには、鉱山の入り口らしきところに着いていた。
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