ツイステ 夢小説
□第1章 真紅の暴君編 四
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「ふんふふーん♪トレイのお菓子はいつ食べても絶品だにゃあ〜モグモグ」
そうですね。本当においしそうですね。
ん?なんだか、どこかで聞いたことあるような声が…
ふと見ると、どこから沸いたでしょう。トレイさんとリドルさんの幼馴染、チェーニャさんがのんびりとケーキを食べていた。
てか、思いっきり馴染んでましたね。
「チェーニャ!なんでここに!」
「ん?『なんでもない日』だからお祝いにきただけさ。おめでとう、リドル」
「『なんでもない日』はハーツラビュル寮の伝統行事だ。キミには関係ないだろう?」
「それはそっちの人たちも同じじゃにゃーの」
と、アイリンさんたちのほうをちらり。
まあ、たしかにそうですね。
『ユウ…もしかして、あの方が?』
「ああ、うん…リドル先輩たちの幼馴染のチェーニャさん」
『まあ!可愛らしい方ね』
「ホント、どんなセンスしてんの?アンタ…」
当の本人は全く気にした様子もなく、会ってみたいと思っていたチェーニャさんに会えて、満足そうです。
「あっ、オマエ!こないだ会ったにゃあにゃあしゃべる変なヤツ!
そういえば、結局オマエはどこの寮なんだゾ?」
寮を表す腕章も付けていない。
グリムの問いは意外な答えだった。
「そもそもチェーニャはうちの学園の生徒じゃない。
ナイトレイブンカレッジの長年のライバル学校、ロイヤルソードアカデミーの生徒だ」
「えぇっ!?違う学校の生徒!?」
「しかもロイヤルソードアカデミー!?」
なんて堂々と入っているのでしょう、この人は。
「他にも魔法学校があるんだ」
『なんだか、すごく格好いいお名前ね』
まあ、そのことはまたいずれ。
「今、ロイヤルソードアカデミーって言ったか!?」
おや、何だか雲行きが怪しく…
ロイヤルソードアカデミーの名前を聞いた寮生たちが険悪な顔をする。
「あの気取った奴らの仲間が来てるって!?」
「なんだと!?どいつだ!すぐ追い出してやる!!」
「おっと。それじゃ、タルトも食べたし、俺は帰るとするかにゃ。フッフフーン♪」
スッと、魔法で文字通り姿を消すチェーニャさん。本当にタルトを目的に来たのです。
逃げる猫(チェーニャ)を追う般若(の顔をした寮生たち)。
残された一同はメインキャストとその先輩たち。
アイリンさんたちに関してはきょとんとする。
「なんかみんなが急に殺気だったんだゾ」
「ナイトレイブンカレッジの生徒は高確率でロイヤルソードアカデミーを敵視してるからね」
「100年も延々負け続けてればそうもなるというか……」
と、困った顔をする寮長と副寮長。
100年も負け続けているなんてある意味すごいですね。
まあ、そんな暗い(あまり暗くないありませんが)話をナシにして、残された一同は『なんでもない日』のパーティーを楽しむことにした。
グリムとエースくんたちがじゃれているのを眺めながら、紅茶を楽しむアイリンさん。
その横で椅子が引かれ誰かが座った。
振り向くと、この寮の寮長、リドルさんだった。
「すまないね。君たちにも庭を手伝わせてしまって」
『いいえ。こちらこそ、パーティーにお招きいただきありがとうございます。お身体の方はもう大丈夫なのですか?』
「ああ。まだ油断はできないが、とりあえず学園長からの許可はおりたよ」
『それはよかったです』
「……君の言う通りだったよ」
『?』
「前に言っただろう。守ってばかりの世界では見えないものもあるって…
…久しぶりだよ。寮生がこんなに笑っているのをみるのは」
制止に入ったユウさんも混ざり、大騒ぎするエースくんたち。
それを見て笑うケイトさんとトレイさん。
そんな光景に微笑ましく思うアイリンさん。
「…帰省したら、お母様と話し合ってみる。聞いてくれるか分からないが…」
『ローズハート様がそうしたいのであれば、大丈夫です。動いてみるのもまた一歩ですもの』
「……そうだな」
こうして、彼らは『なんでもない日』のティーパーティを満喫したのだった。
めでたし、めでたし…かな?