ツイステ 夢小説
□第2章 荒野の反逆者 五
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ゆっくりと目を開けると、黒髪に近い濃い茶色の柔らかい髪が肩にもたれかかっていた。
「アイリン!大丈夫?」
『ユウ…』
目を開けたアイリンさんに気付いたユウさん。
顔を上げると、リドルさんたちが心配そうにこちらを見ていた。
「ビックリしたんだゾ…レオナの後、オマエまで気絶したんだから…」
「何かあったの?」
『……いいえ、何も………彼は?』
「まだ目覚めてないッス」
レオナさんの顔を覗き込むラギーさん。
アイリンさんはこのままではいられないとゆっくりレオナさんの身体を動かし、膝に彼の頭を乗せた。膝枕、いいですね…
地面に力なく置かれたレオナさんの手を優しく握って…
「まったく…ローズハートくんの次はキングスカラーくんとは…心臓が飛び出るかと思いましたよ…」
リリアさんが呼んだのであろう学園長先生も近寄り、レオナさんの目覚めを待った。
「ふな…コイツが早く起きて自白してくれないと…オレ様、大会に出られないんだゾ…」
マジカルシフト大会の始まり時刻が刻々と迫っている
炎で起こそうとするグリムにユウさんは見事な拳を落とす。
さすがですね。
しばらくすると、レオナさんの眉間にしわが寄り、長いまつげが震え出す。
「オイ!起きろ!!」
それを見逃すことなく、グリムが声をかけた。
「―――あ?」
不満そうな声と共にゆっくりと翡翠色の瞳が現れる。
「やったー起きた!ずっと気絶したままだったらどうしようかと思ったんだゾ!
さあ、早く今までの事件は自分が企てましたと自白しろ」
「グリム、ステイ!」
「なに……なんだって?」
「キングスカラーくん。貴方はブロットの負のエネルギーに取り込まれて暴走し、オーバーブロットしてしまったのです。
覚えていませんか?」
「この俺が暴走して……オーバーブロット?嘘だろ……」
学園長先生に言われてレオナさんは信じられないと驚いた。
暴走したときの記憶がないのか、まだ混乱しているようです…。
「そんなことより、マジカルシフト大会がもう始まっちまう。
オマエが自白してくれねーと、オレ様がご褒美に試合に出してもらえねぇんだゾ!」
「あァ…?なんだそりゃ?」
「こいつら、学園長にマジカルシフト大会に出して貰うことを条件に先輩たちを追ってたんス」
「えぇ?そ、そんなことのためにッスか?」
「そんなことぉ!?だったらオマエらだってそんなことのために怪我人まで出してたんだゾ」
「うっ、そ、それは……そうッスけど」
「グリムに突っ込まれちゃ…おしまいだね…」
「それどーいう意味なんだゾ!」
グリムに特大ブーメランを返されてラギーさんもそれ以上言えなかった。
「今までの連続傷害事件は君たちがやっていたということで間違いありませんね?」
「………あぁ、そうだ」
レオナさんはアイリンさんの膝から体を起こし、事件のことを認めた。
「わかりました。ではまず、君たちサバナクロー寮は今回の大会を失格とします。
そして今後の処分については、被害者のみなさんと話し合った上で決定します。いいですね?」
「……わかった」
こうなることを分かっていたのか、レオナさんはあっさりと了承。寮長が了承したとなれば、ラギーさんとジャックさんも何も言えない。
しかし、それにストップをかけたのはリドルさんだった。
「学園長、待ってください」
「ローズハートくん?それに……みなさんは、確か」
『被害者クラブのみなさん…』
「間違っていないが…」
「そのネーミングはちょっと…」
「……彼らは今回の事件の被害者です」
リドルさんと一緒に来たのは、トレイさんとジャミルさんを含めた事件の被害者たちだった。
「学園長、俺たち被害者全員からお願いがあります。今回の大会、どうかサバナクロー寮を失格にせず、出場させてくれませんか」
「なんですって?つまり……彼らを許すと?」
「アンタたち……」
思いがけないお願いに学園長先生も驚きを隠せなかった。
美しい友情が芽生える瞬間。
…………と思ったが、そうはいかないのがこの学園の生徒です。