ツイステ 夢小説
□第3章 深海の商人 五
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その夜、不思議な夢を見た。
海のような深く暗い場所。
ぽつりと浮かぶ光に小さな影を見つけた。
タコのような足を持った少年は狭く、貝殻に囲まれた空間にひたすら何かを書いていた。
「見返してやる。アイツら…覚えてろよ…」
2本の手と複数の足を自在に動かし必死に描き続ける。
そんな少年の背中をただ見つめていた。
沈んでいた意識がゆっくりと浮上し、少し慣れた天井を見つめる。
今日で3日目。決戦の日です。
ここに来てすっかり習慣のようになった朝の片づけと身支度を済ませると、まだ起きないユウさん達を置いて寮を出た。
その1時間後…
アイリンさんとは違った不思議な夢を見て起きたユウさん。
最近現実とリンクした夢を見るな…と不思議に思う。
ぼう…としている間、大きなベッドで眠ていたこの部屋の主がこれまた大きなあくびをして夢と現実の間に意識を泳がす。
「おはようございます。今日は決戦の日ですね」
「あぁ?……なんだ、もう起きてやがんのか……スッキリした顔しやがって。こっちはテメェらのせいで寝不足だ」
昨夜でストレス発散ができたせいかキラキラの笑顔が眩しい。
レオナさんはまだぐーすか寝ている小動物とユウさんを見た後、もう1人の姿が見えないことに気付いた。
「おい。アイツはどうした?」
「あれ?アイリン…?」
見渡してもどこにもいない。
よく見たら、アイリンさんが仕事の際持っていくショルダーバッグが見当たらないことに気付き、もしやもう仕事に行ったのかと驚く。
ユウさんもアイリンさんの居場所が分からないと知り、いつもより不機嫌な様子で舌打ちをするレオナさん。
「……今日が約束の3日目だからな。結果がどうあれ、日没後はここからテメェらを叩き出す。
覚悟しておけよ」
「ういッス…」
ライオンの獣人だけあって、睨みの圧が強い。
ユウさんは思わずぴしっと敬礼で返した。