薄桜鬼 夢小説

□一話 沖
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―――退屈だなー…―――








近藤さんに誘われて薄桜学園に入ったのはいいけど…










「おはよう〜総司〜」



「ふぁ…おはよー」







朝起きて、学校行って…





「なあに?随分眠そうね」


「んー、ちょっとね…」


「え〜、じゃあ今度私とも遊んでね〜」







女の子と遊んで…――





また朝起きて、学校行って、女の子と遊んで…






そんなのが繰り返される毎日。



なにも起きない日々。






名前も忘れた女の子が走り去るのを見て、ため息を落とした。







取り出したスマホをいじりながら四つ角を曲がろうとした時だった。





ドンッ






『ッ……』


「おっと…」





丁度曲がろうとした方向から来た一人の女の子とぶつかった。



顔を上げたその子は一言で言うと地味な子だった。




染めてない黒髪に、化粧もしてない顔とメガネ、きっちりした制服。



いかにも一君みたいな優等生です、って感じだった。



あ、でも…ちょっと可愛いかも…。







『…すみません。』


「ううん、こっちも余所見していたからごめんね。怪我はない?」





いつもの作り笑いで一応心配の声をかける。これで女の子は言い寄ってこない女子はいない。







『大丈夫…です…失礼します』





小さな頭をぺこりと下げると、彼女は真っすぐ小走りで行ってしまった。


あれ、無反応…?


あの制服に、あの方向ってことは…桜華女学院の子か…





名前、聞きそこねたな…



いつもはそんな事気にしないのに、何故かその子のこと忘れられない気がした。






けど、まあ、いっか…と、止めた足を再び動かした。






「はあ……退屈」












空を見上げながらそう呟いた。
















そんな僕の日常が君に出会っただけであんなにも変わるなんて…

その時は全然思ってもみなかった。
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