HQ×黒子夢小説

□第3試合 おにぎりちゃんと嵐の前兆
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〜赤葦SIDE〜






「う〜ん…もう一人…もう一人欲しいわね…」







朝練のクールダウン中、2年生二人のマネージャーの一人、雀田さんがため息交じりに。








「何が?」






先輩マネの呟きに真っ先に反応したのは俺の隣でストレッチをする木葉さんだった。







「マネージャーよ。ほら、もうすぐGWの合宿が始まるでしょ?」







普段から大変なマネージャーの仕事。

それが合宿になると、食事の準備なども追加されるため、雀田さんと白福さん、そして3年の先輩マネの3人では少し人手不足になりそうらしい。

あと一人…出来れば1年生のマネージャーが欲しいそうだ。









「赤葦。誰かいない?部活入っていない子…」


「…すみません、特に心当たりは…」






申し訳ないが、部活入っていない知人に心当たりはない。
と言ってもまだ入学して日が浅いためそこまで知人はいないが…
そんな俺の応えに雀田さんは「だよね〜…」、と困った顔をして頬に手を当てた。






「誰かいないかな…一年で部活入っていなくて、真面目でご飯が作れるマネージャー…」







何か注文が増える…。
むしろそんな都合のいい生徒なんて――…







「はいはい俺!マネになってほしい奴いる!!」








は?








「「はい?」」








ここで話に入って来たのはさっきまで俺に「トス上げろ」と騒いでいた梟谷のエースだった。







「え、なに。木兎誰かいるの?」



「おう!おにぎりちゃん!!」







誰だよ。



そう思っているのは俺だけではないはず。








「お、おにぎりちゃん?」


「ああ…前に木兎が話してた餓死寸前だった時におにぎりくれた子ってやつ?」


「おう!おにぎり美味かった!俺おにぎりちゃんにマネやってほしいッス!」



「いや、木兎…そのおにぎりくれた人の学年と名前は?」



「さあ?」



「“さあ?”って…聞いてないのか?」



「だって、聞く前にどっか行っちまって…」







高2が何やってるんだ。
知らない奴から食べ物もらうなと習わなかったのか?









「じゃあ、特徴は?どんな人だった?」



「おにぎり美味かった!」



「それは分かった。そうじゃなくて、その人の外見だ」



「ん〜……あ!メガネだった!」



「それだけで分かるか」



「女子だった!!」



「はい、解散」






これ以上訊いても無駄だ、と諦めたそうだ。

どうやらその時の木兎さん脳内は大半がおにぎりで埋まっていたのだろう。
パンっと両手をたたいて締める主将。流石慣れてるな。







「だいたい、「メガネをかけた女子」がこの学校に何人いると思ってるんだ」


「まあ、木兎の言うおにぎりちゃんは置いておいて…一年で誰か部活入っていない子を見つけたら教えてね」


「分かりました。」







そんな会話を交わし朝練が終わり、更衣室で制服に着替えて急いで教室へ向かった。








〜SIDE 終了〜
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